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回し蹴り フォアフット蹴り 蹴り

下図は、私が考える回し蹴りのイメージです。
 
私は、回し蹴りを実行する時には、主観的にはこのイメージで蹴っていますが、客観的には違う動きに成っているかもしれません。
茶色の長方形は地面です。
黒線は、床に対して傾いた円で、茶色の破線の位置で床と交わっています。
Qは標的の位置です。
標的に右足を当てる回し蹴りは、Pから出発して黒色線に沿って円運動して標的に当たります。
実際の回し蹴りは、このイメージに、膝の曲げ伸ばしの分だけ修正を加えれば、得られます。
また、フォロー・スルー(QからRまで)では上図の円に沿わず蹴り足を出来るだけ早く降ろせ、と佐藤嘉洋さんがYouTube動画で指導するのを見たので、その方式を私も多分採用すると思います。
しかし、インパクト前(PからQまで)は、フォロースルー(QからRまで)でも黒色線に沿って足を動かすつもりで居る方がインパクトが強く成るだろうと私は思う。
空手の回し蹴りの基本稽古に見られる、脚を体の真横に抱え込んだ形は、足がPから出発してQに到着するまでの途中の瞬間状態だ、というのが私のスタイルです。
したがって、脚を体の真横に抱え込んだ形で一時停止する、という事は、私はやっていません。
ヘッド(エッヂ)は一方向にどんどん加速して行くべきだ、という考えを私は捨て切れない。
だから、ヘッドが途中で一時停止したり、ヘアピン・カーブを描いて動いたりする技には、私は懐疑的です。
私がカカト落としを嫌うのは、そのためです。
カカト落としでは、ヘッドが上端で折り返すので、それまでのヘッド加速が全部無駄に成ってしまいます。
私が考える回し蹴りでは、脚を体の真横に抱え込んだ形は、運動中に一瞬見られる形だ、という風に成っています。
これは、敵から見ると、不動立ち(外八字立ち)から蹴り脚を真横に上げて抱え込み、続いて蹴り脚の膝を伸ばして蹴り足を真横に上げる動作をターン・テーブルの上で行なう様な蹴りです。
以下は、ターン・テーブルが回転していない場合の、あるいはターン・テーブルの上に立っている人に見える景色を描いた図です。




つまり、私のやっている回し蹴りは、後ろ回し蹴りと回転の向きが違うだけ、みたいな蹴りです。
空手の試合で何度も優勝した人が、回し蹴りは三角蹴り(三日月蹴り)みたいに蹴れ、という風に指導するのを複数のYouTube動画で見たので、私のやり方は空手の試合では通用しないかもしれないが、私製教科書としては、後ろ回し蹴りを逆回しした様な蹴りを基本の回し蹴りだとしておきます。
インパクトの瞬間にヘッドが水平に運動している方が、蹴り足を敵の肘にぶつけて傷める危険が小さいだろう。
その点は、三角蹴りよりも私がやってる回し蹴りの方が便利です。
私がやっているタイプの回し蹴り、キック・ボクシングやムエタイでは普通かもしれませんが、以下の違いが有るのではないだろうか。
空手の回し蹴りでは足背(背足)や足前底(中足)を標的に当てるのが基本だが、キック・ボクシングではスネを標的に当てるのが基本だから、空手の回し蹴りでは膝の曲げ伸ばしを行なうが、キック・ボクシングでは膝を伸ばしたまま蹴るのが普通である。
私がやっているタイプの回し蹴りの模範は、根津優太という格闘家の実技に見る事が出来ます。
根津優太さんが何かの試合でリングに上がって直ぐ回し蹴りを数回実行するのを見ましたが、どの試合だったかを後で調べておきます。
野球のバットのスウィングのニュアンスです。
ただし、ここまでは長回し蹴りの話であって、短回し蹴りでは違います。
前足側の手による水平フックを私は不採用としていますが、前足による回し蹴りはアリだと考えています。
それは、膝の曲がる向きと肘の曲がる向きが逆だからです。

私が考える回し蹴りの基本は、全身回転の角運動量や運動エネルギーを標的に受けさせる、という考え方です。
この全身回転は、レの字立ち(後足のカカトを地面から離し、重心を前足のほぼ真上に乗せる形にレの字立ちを変形する)から蹴る場合、後足が地面から受ける摩擦力(地面に平行な力)によって生じます。
後足が地面から大きな摩擦力を受ける様にする事を「後足で地面を蹴る」という言葉で表現したいが、回し蹴りの場合、後足で地面を蹴る事は、足首の関節や膝関節を動かす事によってなされるのではなく、足・脚・腰を不動に保って、上体をひねる事によって行ないます。
足・脚・腰を不動に保って上体をひねれば腰を傷める危険が有るので、腕だけ振るつもりで、胴体のひねりは、腕を振ればどうしても自然に胴体も少しぐらいはねじれるよ、といった程度に留めます。
腕の振りはフォアバック同時打ちに似せますが、フォアバック同時打ちの様な全身連動はさせません。
足・脚・腰を不動に保って腕を急速に振れば、全身の角運動量がゼロから幾らかまで変化し、その変化速度が後足が地面から受ける摩擦力のトルクに等しく成ります。
この事は、摩擦力がゼロならば、腕を急速に振っても足が滑って全身の角運動量はゼロのままである事を考えれば分かります。
つまり、この場合は、上半身が動いたのと逆の向きに下半身が同じだけ動くので、全体としてはプラス・マイナス・ゼロに成るわけです。
腕を振っている間、両足が地面に対して滑らなければ、後足が地面から摩擦力を受けている事を後足の足裏の触覚で感じる事が出来ます。
この時に、足・脚・腰を不動に保ち(残し)ながら、後足で地面を蹴っていると意識します。
この加速は時間的には非常に短く、ギューではなくクッといった感じです。
長くとも「グイッ」まで。
これで角運動量の補給は完了です。
ストレート打ちではインパクトの瞬間に標的から受ける反作用に耐える為に後足で支えますが、回し蹴りでは支えが無い。
この支えの役割を果たすのが回し蹴りでは全身の角運動量です。
胴の動きと脚の動きで挟む様にして蹴るという意識で回し蹴りを蹴っている人も、挟む為のバネを貯める(脚と胴の前面を伸ばす)動作をする時に、後足が地面から摩擦力を受けて、そのトルクで全身に角運動量が発生している事でしょう。
バネ貯め動作終了時にこの角運動量を自分で制動してしまうのはもったいない。
角運動量の補給では、脇を開ければ開けるほど、また、肘を伸ばせば伸ばすほど、腕を振った時に角運動量を多く補給できます。
しかし、そうすればするほど動作が緩慢に成るので、戦局に応じて、角運動量の補給と早さのどちらをどれだけ優先させるかの選択をする必要が有ります。
インパクトの瞬間は、全身回転(先述したターンテーブルに喩えられる)がどこまで回っているかと合っていなければ、威力が最大に成らない。
インパクトが早過ぎ(ターンテーブルが最適の向きに成る前にインパクトす)れば標的への当たりが浅い蹴りに、遅過ぎれば膝を伸ばす力を十分に活用できません。
当たりが浅いと言うのは、ストレートパンチで言うと、届かないパンチを無理して届かせた様な当たり方です。
標的へのエッヂのめり込みが少ないのが浅い当たり方です。
私は、自分がサンドバッグ蹴りでうっかり浅い蹴りに成ってしまいがちな事に気付き、インパクトを微妙に遅らせる様に意識しています。

下図の様に、上半身と下半身を2つのディスクで表し、AとBは筋肉で、後足の接地状態をON、OFFで表してみます。
 

 

 

 
まず、後足の接地をONにしたまま筋肉Aを緩めて筋肉Bを収縮させます。
この時に後足が水平な力を地面から受けて、その分だけ上半身のディスクの角運動量(=2つのディスクの角運動量の合計)が増加します。
筋肉Bの収縮が終わると同時に後足の接地をOFFにすると、以後は角運動量保存の法則に従がって、2つのディスクの角運動量の合計は一定に保たれます。
この法則は筋肉Aや筋肉Bを働かせても働かせなくても成り立ちます。
後足の接地をOFFにしている期間中に筋肉Bの張力をOFFにして筋肉Aの張力をONにします。
すると、上半身のディスクの角運動量が減って下半身のディスクの角運動量が増えますが、この時に2つのディスクの角運動量の合計は一定に保たれるので、これは上半身のディスクの角運動量が下半身のディスクに移動する事だ、と言えます。
理屈としては、ここまでに書いた理屈だけで十分ですが、ホントにこんなので合ってるのかと疑問に思う人の為に、同じ事をクドクドと別の言葉で言い換えるレベルの補足説明を「ついでの話」として以下に書いておきます。
私はこっち(力学や物理学)が専門なので、(「実際の人体は2ディスク模型と違うだろうが」と言われれば「ええ、まあ、そりゃあ」という事に成るが)上記の2ディスク模型に限れば、これで絶対に間違いない事が私には明白に分かるのですが、「私は偉い物理学者だから信じろ」とか「力学というのは百年以上前に確立された理論であり百パーセント信頼できるものなんだよお」という言い方は、詐欺師でも出来るので、ここでは避けたいと思います。
私がここで使った理屈は、ニュートン力学とか古典力学と呼ばれる理論に基づいています。
ニュートン力学を詳しく知りたい人は私の
物理学正典の「初等力学」パートで解説を読む事が出来ます。
ニュートン力学は、高校物理ないし大学1年生で習う物理学の理論です。
そういうある意味初歩的な学理なんですが、それですら、どうしてもこう成るんだ、ほんの少しでも変更すればつじつまが合わなく成るんだ、という事が分かる様に成るには、かなり勉強しないといけません、白帯から色帯に上がるぐらいだろうか。
そこで、スポーツや武道だけしかやらないつもりの人の為に、そういう勉強をしなくても「どうもこれは正しいみたいだぞ」という感覚を自分で持ってもらえる様な説明を、ここから書きます。
ニュートン力学というのは、百年以上前に確立された理論で、相対性理論みたいな事を言わなければ、どこをどう突いても絶対にボロは出ない完璧な理論、果てしなくつじつまが合い続ける理論です。
つまり、「あ?でも、この点についてはどうなんだ?」という疑問は、一見どれほどニュートン力学に含まれる間違いを暴き出しそうであっても、それを最後まで考え抜いて答えを出せば、ニュートン力学が正しい事の証拠のコレクションを1つ増やすだけです。
以下では、そういう「あ?でも、この点についてはどうなんだ?」的な話をします。

軸足の足裏が地面から受ける摩擦力のトルクで全身の角運動量も少しは変化する、という事を言わなければ、角運動量保存の法則は成り立ちますが、筋肉を働かせるという要素が含まれているので、エネルギー保存の法則は成り立ちません。
だから、筋肉Aを働かせた時に上半身のディスクから下半身のディスクへ角運動量が移動する、という考えは正しいけれど、エネルギーが移動するという考えは間違ってます。
簡単のために上半身のディスクと下半身のディスクが形も大きさも重さも全く同じである場合で説明します。
上半身のディスクと下半身のディスクの角速度が同じに成るまで筋肉Aを使うと、角速度は最初(後足の接地をOFFにした瞬間)の上半身のディスクの角速度の半分に成り、2つのディスクの角運動量の合計は最初と同じですが、2つのディスクの運動エネルギーの合計は最初の半分に減ります。
これは、(角運動量) = (慣性モーメント)×(角速度)、(運動エネルギー) = (慣性モーメント)×(角速度の2乗)÷2、だからです。
角速度が半分に成れば、運動エネルギーは4分の1に成るので、それを2つ足し合わせても元の運動エネルギーの半分にしか成らないわけです。
上半身のディスクの角速度がゼロに成るまで筋肉Aを使うと、下半身のディスクの角速度は上半身のディスクの最初の角速度と同じに成り、この場合は、角運動量の合計も運動エネルギーの合計も最初と同じに成り、誤ってエネルギー保存の法則を使って計算してしまった場合と答えは同じに成ります。
筋肉Aをもっと使って、上半身のディスクの角速度がマイナスに成る(上半身のディスクが逆回転する)様にする、例えば、上半身のディスクの角速度が最初の角速度×(-1)、下半身のディスクの角速度が最初の上半身のディスクの角速度×2に成る様にすると、2つのディスクの角運動量の合計は最初と同じですが、2つのディスクの運動エネルギーの合計は最初の5倍に増えます。
この様に、途中で筋肉を使うと、エネルギーの合計は色々に成ってしまうわけです。
この「ついでの話」を書き始める直前に私は、「あれ?筋肉がした仕事の分だけ全体の運動エネルギーが増えるんじゃなかったっけ?」と疑問に思いました。
それが、「ついでの話」を書き始めた動機です。
つまり、筋肉Aを収縮させれば筋肉Aが2つのディスクに仕事をし、その分だけ2つのディスクの運動エネルギーの合計は増えるはずなのに、実際にはしばらくは運動エネルギーの合計が減り続ける、あれ?おかしいぞ!と思ってしまったわけです。
筋肉を使っても2つのディスクの角速度を揃える場合には運動エネルギーの合計が減る、という事情は、この問題を非弾性衝突の回転版だと考えれば、自然な事に思えます。
高校物理で習う非弾性衝突は並進版だと言う事が出来るでしょう。
筋肉がした仕事の分だけ運動エネルギーが増える、というのは正しいんだけど、筋肉がマイナスの仕事をする(上半身のディスクにする仕事と下半身のディスクにする仕事の合計がマイナスだ)という事です。
筋肉Aがした仕事がマイナスに成り得るのは、後足の接地をOFFにしてから下半身のディスクの角速度が上半身のディスクの角速度に追い着く(=と等しく成る)までは筋肉Aは伸び続けるのであって最初から収縮を開始する(筋肉Aは張力をONにすると同時に長さが増加から減少に転じる)わけではないからです。
2025年05月18日には私は、この点を考え落としていたせいで、次の様な間違った事を書いてしまいました。
筋肉がした仕事がプラスに見えるのは、筋肉の中心やどちらかの端が静止している様に見える座標系で計っての事であり、それ以外の座標系ではそうは成らない、仕事も運動エネルギーも座標系非依存ではない、う~ん、段々思い出して来たぞ。
また、ここまでの文中の「筋肉Aの張力をONにする」という部分を、2025年05月18日には私は誤って「筋肉を収縮させる」と書いてしまいました。
この枠内の考えは間違っています。
正しくは、非相対論的な力学では筋肉がした仕事は座標系非依存です。
したがって筋肉が収縮する時には必ず周囲にプラスの仕事をしてその分だけ周囲のエネルギーを増やします。
筋肉が周囲からエネルギーを奪うのは、筋肉が伸ばされる時だけです。
この枠内の私の考えの間違い方は、人間の思考のカッコ悪い間違い方の1つの典型例であり、人間の思考の特徴を研究したり説明したりする為の資料として利用価値が高いと思うので、ここに展示しておきます。
今回のカッコ悪い間違い方というのは、問題を大きく考え過ぎる事です。
似た例としては、量子力学の解釈問題に対する多世界説を挙げる事が出来ます。
社会の問題なんかでも、何でも直ぐに根本が間違っているからだと早合点するのも、問題を大きく考え過ぎる事に当たり、共産主義はその具体例の1つだろう。
時↓
間↓
経↓
過↓
後足の接地状態 筋肉A 筋肉B 上半身の
角速度
下半身の
角速度
張力 長さ 張力 長さ
ON OFF
増加

ON
減少

増加 ゼロ
OFF
ON


OFF


減少


増加

減少 増加
筋肉Aは最初から収縮を開始するわけではないという事も、気付かなければ、ニュートン力学の理論が間違っているから答えが合わないんだ、という早合点の原因に成り得ます。
だから、この点も、ニュートン力学はやっぱりどこも間違ってないんだ、という事が分かる様に成る道の険しさを表している、と言えるでしょう。
ここで私は「トルク」という言葉を使いましたが、正確には「トルク」というのは、大きさが同じで向きが反対の力のペアによる力のモーメントではなかったかと思う。
よく思い出せない。
当ページの記事の内容にふさわしい正確な専門用語としては、「トルク」ではなく「力のモーメント」が正しいのだが、「トルク」という言葉の方が普及しているので「トルク」と言わせてもらった。
いまインターネットで「トルク」の意味を調べると、それでも間違いではないという意味の事が書かれていたが、間違いだろうと私は思う。
正しくは「反作用」と書かなければいけないのに「反動」と書いてしまった事もどこかに有った。
四つ足の構えから出てAFS姿勢に成る事の説明の所だったか。
後で直そうと思う。
途中で「筋肉がした仕事」という言葉を私は使いましたが、これにおける「仕事」とは(力の大きさ)×(力の向きに移動させた距離)の事で、高校物理で習います。
筋肉の場合、筋肉の片方の端が外部にする仕事は、それを計る座標系によって異なりますが、筋肉の両端が外部にする仕事の合計は(筋肉の張力)×(筋肉の長さの減少)に等しく成り、これは座標系非依存です。
筋肉Bの張力をONにすると同時に後足が地面から水平な力を受け始める事は、下半身のディスクが受ける力の釣り合いを考えれば分かります。
後足の接地がONの期間中は、下半身のディスクは静止したままなのだから、下半身のディスクに働く力は釣り合っていなければいけません。
したがって、下半身のディスクが筋肉Bから受ける力(のモーメント)と地面から受ける力(のモーメント)は釣り合っているわけです。
ついでの話の、そのまたついでの話に成りますが、それではエネルギー保存の法則というのはいつでも成り立っているわけではないのか?という風に疑問に思う人が居ると思います。
運動エネルギーに限ればいつでも成り立っているわけではありません。
しかし、化学エネルギーや熱エネルギーなど全てのエネルギーをカウントすれば、いつでも成り立っています。
例えば筋肉Aが2つのディスクに仕事をするとき、大体の考え方は、筋肉Aの内部に蓄えられている化学エネルギー(グリコーゲンが持っているエネルギー)が減り、その分だけ筋肉Aは2つのディスクに仕事をする、その仕事の分だけ2つのディスクの運動エネルギーが増える、したがって、(筋肉Aの内部に蓄えられている化学エネルギー) + (2つのディスクの運動エネルギーの合計) は変化しない、という風に成ります。
さらに熱エネルギーの事も考慮に入れれば、エネルギー保存の法則の正確な表現に成ります。

理屈を最小限にして理解したい場合は、上半身をスネだと思い下半身を足だと思うとか、上半身を大腿だと思い下半身をスネだと思えば、感じをつかめます。
垂直ジャンプで、足首だけを利かせてジャンプする事も、膝だけを利かせてジャンプする事も出来ますよね。
同様に、上体起こしだけを利かせてジャンプしようとする力を得る事も可能ですよね。
これでは力不足で足裏が地面から離れるには至らないだろうけど、それでも、ジャンプしようとする力は得られる。
これの回転版を考えているのが上記の2ディスク模型です。

回し蹴りの序盤の角運動量補給の方法として、フォアバック同時打ちの様な全身連動(後足接地がONの期間中に下半身のディスクも回転させる)を使う事も可能ですが、腕を回転軸に出来るだけ近付ける形に畳んでそれを行なうならば、全身連動を使っても角運動量をあまり多く補給できるわけではありません。
また、後足接地がONの期間中は下半身のディスクを回転させない方式でも、腕を回転軸から出来るだけ離して振れば、角運動量をかなり多く補給できます。
これは、(慣性モーメント) = (質量)×(回転軸からの距離の2乗) であるために腕の慣性モーメントが馬鹿に成らないぐらい大きいからです。
「質量」というのは「重さ」とは違うんだけど、分からない人は「重さ」だと思って下さい。
(回転軸からの距離) = (腕の長さ) でもありません。
腕の各部位(微小部位)について (慣性モーメント) = (質量)×(回転軸からの距離の2乗) を考え、それを全ての微小部位について足します(積分って言うんだけどね)。
だから、腕の振りで手指先を伸ばす事によって慣性モーメントを少しでも大きくするという工夫にも、気休め以上の効果が有ります。
以上の事と全身連動には時間が掛かる事を考え合わせれば、回し蹴りで全身連動を使うのは基本的ではない、と判断できます。
慣性モーメントを最大化しての腕の振りは下図のごとくです。
 
上図の振り方は考え方が分かりやすいけれど、下図の様に振る方が実際的だろう。
試してみて、下図の振り方でやっても上図の振り方と同じだけ角運動量を補給できるようだ、と体感しました。
 
慣性モーメントを最大化せず威力を少し犠牲にして早さを出すには、下図の振り方が良いだろう。
 
いずれの腕の振り方も、実際には、図よりも腕を下に垂らして行なう方が自然かもしれない。
ここまでの腕の振り方のエッセンスを保持したまま、両前腕を地面に垂直に近く立てたまま振るのも、腕のガード配置からの移行がスムーズなので良さそうだ。
慣性モーメントを少しでも大きくする事に意味が有るのは、後足の接地がONの間だけです。
後足の接地がOFFの期間中は、腕の使い方とは無関係に角運動量保存の法則は成り立ちます。
だから、腕と胴の位置関係が変化しない期間中には、慣性モーメントが小さい方が角速度は大きく成ります。
(角運動量) = (慣性モーメント)×(角速度) だからです。
ただし、インパクトの瞬間だけは、標的から受ける力(のモーメント)によって全身の角運動量が出来るだけ大きく減る様にしたい。
これは、標的に出来るだけ大きな力積を受けさせる様にする事と同じだからです。
その為には、インパクトの瞬間には腕を後足の接地がONの期間中の様に振らない事が必要です。
腕を逆向きに振る必要は無い、腕を胴に密着させる形に畳んでしまっていてもよいけれど、後足の接地がONの期間中の様に振るのはNGです。
YouTubeの回し蹴りの解説動画で上田幹雄さんが「腕を順方向に振るとそっちに力が逃げる」と言っていたのは、その事を体感しての事だろうと思います。
(全身の角運動量の減少) = (エッヂが標的から受けた力のモーメント)×(接触時間)
この事と作用反作用の法則を考え合わせれば、標的に出来るだけ大きな衝撃を与える事と、全身の角運動量をインパクトで出来るだけ減らす事とは同じです。
インパクト終了時にまだ腕が順方向に回転運動をしていれば、その分だけ全身の角運動量がまだ残っている事に成り、標的に与える衝撃が最大化されません。
角運動量補給の練習方法としては、ターンテーブルの上に立って両手で別々の柱をつかみ足でターンテーブルを回す、という練習が考えられます。

YouTubrの「ランバー ソムデート M16」というチャンネルで、「回し蹴りでも歩いて蹴れば蹴りが重く成る」という法則が紹介されてました。
四つ足の構えからの出方で言うと、ホバー順回転の第1状態から回し蹴りを実行する形で出る場合と、ホバー逆回転の第5状態から回し蹴りを実行する形で出る場合に、第1状態や第5状態で一時停止しなければ蹴りが重く成るよ、という教えです。
これを私は考え落としていたので、大変勉強に成りました。
この蹴り方は上記の2ディスク模型とは原理が違う。
歩いて蹴る回し蹴りの原理は、プロレスのウエスタン・ラリアットで腕の代わりに脚を使った物、という風に理解できるのではないか。
だから、標的が蹴る人の進路から横に外れている場合にこの蹴り方は有効で、標的が蹴る人の進路上にある場合は向かないんじゃないだろうか。
「回し蹴り」という分類に入れるべきか否かも迷うところだ。

YouTubeの「宍戸祐太」というチャンネルでは、ムエタイでは回し蹴りを必ず斜め前に踏み込んでから蹴る、という説明が含まれていた様に記憶しています。
そうする理由は、カウンター攻撃の害を防ぐ為だったと思います。
なるほど合理的だ、と納得しています。
しかし、この蹴り方を回し蹴りの基本技に指定するのは気が進まない。


2024年10月05日までの練習実感としては、回し蹴りでは軸足の爪先の向きをしっかり先行させ、素振り着地では敵に背を向けるぐらいでなければ、股関節付近に無理な力が掛かる、と感じる。
これは私の股割り等の柔軟性が不十分だからかもしれないので、今後柔軟性をもっと高めながら確認を続けたい。

標的に足を当てる回し蹴りと違って、標的にスネを当てる回し蹴りでは、標的から受ける反作用力が膝を曲げる向きではなく若干膝を折る向きなので、インパクト時には膝に力を入れておく必要が有るだろう。



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四つ足の構え第2状態に着地し、着地後ホバー順回転 着地までに蹴り足側の手で逆側片目ガードを完成させる
四つ足の構え第2状態に着地し、着地後ホバー逆回転 着地までに軸側の手で逆側片目ガードを完成させる




180




フレキシング 始状態 足の配置 四つ足の構え第3状態、第5状態
終状態
(インパクトの瞬間)
足の軌道
起動からインパクトまでの回転角 150度弱
フォロースルーの回転角 30度強
着地 足の配置
グリッドデータ 軸足前底中心から標的までの距離 1.80スネ(足背を当てる場合)
到達時間(起動からインパクトまでの時間)
周期(起動からAFS基本姿勢に戻るまでの時間)
エッヂ選択
腕の動き



300




フレキシング 始状態 足の配置 四つ足の構え第1状態
終状態
(インパクトの瞬間)
足の軌道
起動からインパクトまでの回転角 180度弱
フォロースルーの回転角 120度強
着地 足の配置
グリッドデータ 軸足前底中心から標的までの距離 1.80スネ(足背を当てる場合)
到達時間(起動からインパクトまでの時間) 0.81秒
周期(起動からAFS基本姿勢に戻るまでの時間)
エッヂ選択
腕の動き







最終編集2025年05月24日