後で書き直します。
空手には、大きく分けて2種類の流派がある。一つは試合や練習において技を相手に実際に当てる流派で、もともとは極真空手、その後は極真を習った者(芦原など)が新しい流派を作ったり、さらにそこで習った者(K1の石井館長など)が新しい流派を作ったりしたものだ。これらの空手をフル・コンタクト空手と言う。略してフルコンなんて呼ばれる事もある。もう一つの流派群は試合や練習において技を相手に当てず、技が当たる直前で攻撃に用いている手足を引っ込めてしまう流派群だ。もちろん怪我や死亡事故を防ぐためにそうするわけだが、これらの流派は日本空手連盟というものを組織し、この組織への加盟流派は主に「和道流」「糸東流」「剛柔流」「松涛館」の4系列に分かれるらしい。これらの空手は寸止め空手と呼ばれ、フルコンと対比される。フルコンで後ろ回し蹴りを頭部に食らって歯が吹き飛んだ、なんて場合も希にあるらしいし、フルコンで骨折というケースはかなり多い。その分だけ寸止めの言い分は正しいし、フルコンでは上段への手による攻撃が禁止されており、主戦力を禁じ手にしての試合・練習は、実戦での格闘能力向上のための訓練法としては不合理なものだ、という批判もフルコンは甘んじて受けねばならぬ。寸止め流派では、実打しないのだから、顔面へ正拳突き、というのも試合・練習を通して認められており、大袈裟に言うと、寸止め空手イクオール顔面への正拳突き、だ。さて、寸止め・フルコン、長短あるわけだが、整理すると、寸止めは上段への手による攻撃がありフルコンにはそれが無い分だけ寸止めの方が勝っているが、寸止めでは、1本取った技でも、もしそれを止めずに敵に当ててたら敵は倒れただろうか?という疑問が残る。実際フルコンを見てると、フルコンの選手達は、寸止めなら1本取れるような技をビシバシ浴びつつ果敢に応戦している。鍛え抜かれた肉体に対しては、空手の技はそれほど効かないものなのだ。フルコン試合が実際に行なわれる前に空手界で支配的だった意見「空手の技は一撃必殺。対人使用しようものなら、たちまち肉は裂け骨は砕け・・・」が間違いであることを実証した点でフルコンの功績は大きい。その上、寸止め試合ではローキックは得点にならないが、フルコン試合ではローキックが非常に重要な役割を果たしている。つまり、極端な話し、寸止めは効かぬ技をカウントし効く技をカウントしないのに対して、フルコンは効く技のみをカウントする、という事だ。それじゃあ、怪我覚悟で本気で強くなりたいならフルコンか?という事に成るが、上段への手による攻撃が無いのは、結構大きい欠点だ。K1に極真の選手が出て負ける(フィリオが負けたのは印象的だった)のを良く目にすると思うが、手による上段への攻撃があるのと無いのとでは、間合いの取り方が全然違ってくる。寸止め試合やK1では互いに敵の攻撃を警戒して、敵の射程範囲の直ぐ外をウロウロしてステップ・インの機会を待つ。これに対してフルコン試合では、両者間合いを詰めて中段突きとローキックの一点張りになる。離れると敵の蹴りが飛んで来るから、不用意に相手から離れることが出来ない。逆に接近しての被打はある程度我慢できる。フルコン試合には寸止め試合やK1で見られる緊迫した間合いのかけひきが無い。実戦(ストリート・ファイト)では禁止技が無いので、その点フルコンは非実戦的という事になる。技の威力という観点から言えば、一昔前にはブロック塀を作るためのコンクリート・ブロックを正拳突きで破壊するような強力な技は、極真をはじめとするフルコンの象徴だったが、最近では寸止め系流派のホーム・ページにそれを凌ぐ試割り写真が掲載されていたりする。フルコン=超高威力、寸止め=中威力、とは現在では言えない。寸止め習いながらでも試割り能力向上訓練を熱心にやれば極真レヴェルの破壊力を持つことも可能だろう。最後に、蹴りについては、フルコン空手の蹴りが最も好ましい。寸止め流派やキック・ボクサーの蹴りよりもだ。空手については以上だが、ルールの極端に少ない異種格闘技戦(アルチメットやヴァーリトゥードやプライド)が盛んに行なわれる様になった現在では、打撃系格闘技(空手もこれに含まれる)は組み技系格闘技(グレイシー柔術など)よりも弱い、という認識が常識となっている。例外となる個人もいる。ヴァンダレイ・シウバやミルコ・クロコップは、打撃技で組み技選手を倒す。また、打撃系に限ったK1でも空手家よりはキック・ボクサーの方が強い様だ。この様に空手を取り巻く環境は厳しい。それでも、空手の好きな僕は、シウバやクロコップが示してくれた可能性を手掛かりに研究を重ね、また、キック・ボクシングからは長所のみを取り入れ、空手をキック・ボクシングにしてしまわぬ様に注意しながら、キック・ボクシングに無い空手の長所を探り当て、そこを伸ばす空手の道をお薦めする。
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以下は2022年03月15日に追記しました。
心体育道というフルコン空手の新流派が有る事を最近知りました。
フルコン流派は派生順に主な物を書くと、極真空手 > 芦原空手 > 正道空手 > 心体育道。
後に出来た流派ほどスマートに成って行っているけれど、本に成る流派を知らないとその良さが分からないかも。
フルコン流派も、さらに、試合空手(スポーツ空手)なのか実戦空手(実用空手)なのか、という観点で分類してみるべきです。
正道空手は試合で勝つ方法を徹底的に研究して常勝軍団と呼ばれるに至った、と聞きます。
伝統(寸止め)流派は、さらに、高岡英夫の言うAFSかBFSかで分類されます。
AFSというのは前足が着地した後に接触するパンチの事で、BFSというのは前足が着地する前に接触する突きの事です。
剛柔流はAFS流派で、松涛館はBFS流派です。
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