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タイトル 四つ足の構え概論2(防御思想)2024年09月10日撮影分
説明 2024年01月03日に撮影した動画の増補改定版です。
四つ足の構え@液態用@構え@デザイン例@理論
使用カメラ Canon IXY DIGITAL 210 IS
撮影モード 動画 > 320×240, 30fps
再生時間 約18分31秒
撮影時間 約18分31秒
撮影日 2024年09月10日
テープ起こし欄 以下は読み上げ用の原稿です。

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今回は、四つ足の構え概論2というタイトルで、四つ足の構えの抽象的な防御思想を説明します。
既に発表した同じタイトルの動画の言い直しです。
抽象的なので空手以外の対戦にも使える考え方だと思います。

四つ足の構えを私は防御方法として編み出しました。
攻撃用法は副産物です。

四つ足の構えは、決定論的な空手に代わって確率論的な空手を生成する具体例です。
決定論的というのは、こうすれば必ずこうなる式の考え方です。
確率論的というのは、こうすればこうなる場合が多い式の考え方です。
四つ足の構えで私が目指すのは、グチャグチャグチャ、ポン、といった感じの確率論的な展開です。

決定論的なやり方では遅れが生じます。
約束組手は、せえので一緒に動くから成立するのであって、反応して動くなら重心移動が遅れるだろうと思います。
動き始めるのが早過ぎれば、それを見て敵は攻撃を中止、延期します。
これはフライイングです。
フライイングすれば、構え直す前に撃たれて負けてしまうか、振り出しに戻ります。
約束組手では動き始めるのが早過ぎても敵は、飛んで火に入る夏の虫のように攻撃して来てくれますが、それは、そう約束しているからです。
動き始めるのが遅過ぎれば、追われ続ける事に成る、つまり、敵の攻撃が命中しないようにするだけなら辛うじて出来るが、それで精一杯であり、私の反撃より先に敵の追撃が来てしまう、そのせいで追われ続ける事に成り、いわゆる「むむ、このままではじり貧だ」に成ってしまいます。
したがって、約束なしの自由組手で約束組手と同じ現象を引き起こすには、敵と同時に動き始める必要が有ります。
そう結論するには少し論理に飛躍が有りますが、それが私の予想です。
しかし、敵の動きに反応して動き始めたのでは、敵と同時に動き始めるのは不可能です。
同時を実現するのは偶然によるしかない、つまり、敵の予定と私の予定が偶然一致していたせいで動き始めるのが同時に成った、という風にするしかありません。
敵が見て、こちらが動くとは思わなかったのに動いたからやり損じた、止まるとは思わなかったのに止まったからやり損じた、曲がるとは思わなかったのに曲がったからやり損じた、という風にするんです。
敵と私が偶然同時に動いた、そのチャンスを逃さず返撃や迎撃をします。

四つ足の構えの防御方法は「ブロック」「パリー」「かわす」のうちの「かわす」です。
ブロックやパリーは、かわし切れなかった分を防ぐ補助という位置づけです。
「かわす」のうちでも、重心移動によってかわすのが、四つ足の構えによるかわし方です。
重心不動のまま姿勢を変えてかわすのは、重心移動でかわし切れなかった分を防ぐ補助という位置づけです。
重心不動のまま姿勢を変えてかわしたり腕で払ったりする方法は、コンビネーション攻撃やフェイントに弱い、と聞きます。
反応できないっ、てのも有ると思う。
また、護身実用ではグローブが無い分だけガードでブロックするという戦術の有効性は減ります。

手足が届かない位置から手足が届く位置まで敵が重心移動するのと同時に私も重心移動したせいで敵の攻撃が失敗した、という現象が起こるように狙います。
最初から手足が届く位置関係なら、重心不動で姿勢を変えたり腕で払ったりして敵の攻撃を防ぐのすら遅れてしまい易いのだから、重心移動で敵の攻撃をかわすのは不可能です。

重心移動というのは、重心不動のまま姿勢を変更するよりも、ずっと時間がかかる、つまり、重心移動というのは、どうしても緩慢な動作に成ってしまいます。
これは、重心移動の加速度の水平成分が本質的には重力によって規定されるせいです。
その様子は、重力が地球表面の6分の1である月面では宇宙飛行士の重心移動が極めてゆっくりになるのを思い出せば、よく分かります。
走行速度は幾らでも大きく出来るけど、水平加速度には上限があるわけです。
人間は2本脚で立っているので、どうしても(手の上にホウキを立てて)このように重心移動の加速度が小さく成ります。
高く積まれた箱を下から片手で持って運ぶ蕎麦の出前の配達イメージでもよい。
(実演)脚を床に平行に近付ければ水平加速度も大きく出来るけれど、脚を床に平行に近付ければ1ステップ分の移動距離が小さく成り移動方向も限定されてしまいます。
そういった事を思い出せば、鍛錬によって重心移動を幾らでも高速化できる、という考えはウソだと分かります。
地面を蹴るのではなく倒れるのだという忍術や古武術でも、与えられた重力環境下での重心移動の早さを最大化できるだけで、重力で決まる限界を超える事は出来ません。
筋力の増加に合わせて重力も増加するなら重心移動は幾らでも早く成るが、重力は変わらないから、それは望めないわけです。
筋力を増やした分だけ重心の加速度を増やす事は出来るんだけど、それではジャンプに成ってしまいます。
したがって、忍術や古武術を極めれば重心の水平移動がほとんど瞬間移動みたいになる、という考えは妄想です。
ただし、妄想という言葉をむやみに使うのは、やめましょう。

というわけで、重心移動は加速度が小さいので、空手の自由組手における位置取り競争は、誇張すると、軍艦同士の艦隊決戦のごとくです。
おもかじいっぱーい、とりかじいっぱーい、推進機反転、エンジン全開、大変です艦長このままでは衝突します、駄目です、間に合いません、といったニュアンスです。

重心移動にはこの様な緩慢さが有るので、敵の攻撃を重心移動でかわすのは、反応して動くのでは間に合わない、と私は見ています。
敵の攻撃を見て反応してでも「瞬間移動できるものならあの位置にこの向きに自分の身体を直ぐに置きたい、今それが出来れば勝てる」という判断は着弾前に完了できるんだけど、実際の重心移動は瞬間ではないので間に合いません。

反応して動くのでは間に合わないから、予め動いておく、これが四つ足の構えの防御方針です。
因みに、予め動き続けて敵を翻弄しておくのがサバキだ、という意味の解説をキックボクシングの宍戸祐太さんがするのをYouTubeで見た時に、芦原空手のサバキは反応して動くタイプのサバキである事を思い出し、芦原空手のサバキは本当のサバキではないのではないかという疑問を持つ様に成りました。

予め動いておくには、どういう方法が有るでしょうか。
山勘にしたがって先に動く事が考えられます。
山勘で動いた結果が偶然敵の攻撃と同時だった、山勘が的中した、という場合には、勝てます。
液態で待ち拳のタイミングを得るには、反応して動くのでは間に合わない、山勘で動く場合の早さ(アーリネス)が必要です。
しかし、山勘で動けば、山勘が外れた場合、窮地に立たされるし、山勘判断が大脳判断である事による不利も生じます。

四つ足の構えは、小脳化されたプログラムにしたがって予め常に動き続けておく事によって敵の攻撃を空振りさせたり当たり損ねさせたりするので、山勘で動く場合と同じ早さ(アーリネス)を達成できるし、動いた後直ぐに次の重心移動に入る事を繰り返すので、山勘が外れた場合の危機に相当する危機が出来るだけ小さく成ります。

山勘や四つ足の構え以外に、敵の考えを読む、読みにもとづいて敵と同時に動く、という方法も有ります。
それが理想かもしれないが、それは難度が高い。
デタラメに動き続ける方が簡単です。

読みに基づいて敵と同時に動く方法は決定論的な空手に属します。
それに対して、デタラメに動き続けるのは確率論的な空手です。
四つ足の構えは確率論的な空手ですが、四つ足の構えの動きはデタラメではなく規則的です。
これは、戦術的不規則性に戦術的複雑性を代用した、という事です。
不規則にしようと思っても出来ないし、不規則にする事に気を取られると他の事がお留守に成ってしまいます。
規則的でも十分に複雑ならば、敵にとっては不規則なのと同じです。
複雑でも規則的なら、パターンをロム化つまり小脳化しておく事が出来るので、大脳資源をそこに食われずに済みます。
四つ足の構えのホバーは、そういう意味での必要な複雑さを備えた最小の歩行パターンです。
歩行パターンが規則的なのに四つ足の構えが確率論的な空手であるのは、こちらの規則的な動きへの敵の反応がバラつくからです。

最後に、四つ足の構えの使用条件を説明します。
四つ足の構えは、構えであって姿勢ではないから、攻撃開始前に使うものであって、攻撃中に使うものではありません。
打ち合い中に取る姿勢とは違います。
四つ足の構えが有効だと思われるのは、膠着状態、見合っている状態、手をこまねいている状態です。
シーシー言いながら打ち合ってる状態では使えません。
ただし、打ち合い状態でも、中段足蹴り合戦でなら、コンビネーション用のステップとして四つ足の構えを使えます。
(独立式の手技も四つ足の構えから出ずに打てます)
格闘技の試合の観戦中に、ここで四つ足の構えが使えるぞ、という膠着状態を見る事が多い。
膠着状態は、自分も敵も攻撃技の威力が大きくて、攻撃技を無視して近付く事が出来ない場合に生じます。
だから、四つ足の構えが使えるのは、自分の攻撃技の威力が大きいせいで敵がズカズカとは入ってこれない場合だけです。
自分の攻撃技の威力がそれほどではなく、敵がズカズカ入って来る場合には、四つ足の構えに出番は有りません。

自分の攻撃技の威力が恐ろしいレベルに満たない場合は、四つ足の構えを使えるのは、大きく離れた位置からの接近中だけです。
空手の試合で言うなら、それは、「始めろ」という意味の審判の合図で手足が届く位置まで両者が移動している間だけです。
この僅かな時間の間だけ、近付いて来る敵を四つ足の構えホバーで待ち構えたり、待ち構えている敵に四つ足の構え直進やジグザグ進で近付いたり出来ます。

近付いて来る敵をホバーで待ち構える場合は、周期運度であるホバーには、敵が打ち込んで来るタイミングを限定する作用が有ると考えられます。
いつ来るか?今でしょ、という具合にです。
これは活人剣の考え方のタイミング版だと言えます。
敵が打ち込んで来るタイミングが予めわかっているなら、そこでカウンター攻撃をする様に計画できます。
その場合、私の動きの複雑さが大き過ぎて敵は狙いを定める事が全く出来ないなら、敵は撃って来ないので、敵の目には自分の攻撃が命中しそうに見えるが実際には命中しないような、ギリギリスレスレの複雑さで動く事が肝心です。
狙いが定まらないようにするわけです。
攻撃動作開始時に攻撃の成功を敵が「もらった」という風に確信する事が出来ない、先行き不透明な嫌な感じの状況で敵に見切り発車させる、出たとこ勝負の攻撃に踏み切らせる、という事です。
これは、ホバーの回転速度を加減する事によって達成されるでしょう。
この他に、動きの複雑さをもっと大きくして敵が攻撃の糸口をつかめない状況を作った上で私が先制攻撃する、という選択肢もあります。

そんな人に私はなりたい。
後日撮り直し用メモ欄 再生開始から7分36秒が経過した頃に私がしている発言について。
tomittさんが「【ボクシング講座】それ大丈夫?フットワークの基本※衝撃の事実※トミット動画」というタイトルの動画で、ヒザを伸ばしてロックし脚を突っ支え棒の様に使え、と指導しているのを見ました。
tomittさんは、脚を突っ支え棒の様に使う事だけを言ったのに、私は、スタンスを広くする事と脚を突っ支え棒の様に使う事の2つがポイントだと思いながらしゃべってしまいました。
tomittさんが解説した方法は、四つ足の構えの足間隔よりはスタンスを広くするのだけれど、四つ足の構えと比較しなければ、特に足間隔を大きくするわけではなく、普通の足間隔で行なう物だと思われます。
したがって、tomittさんの指導には、「足間隔を大きくしろ(スタンスを広くしろ)」という内容は含まれていなかった、と考えられます。
tomittさんは、この方法を、プロが試合で使っている方法だと言っていたし、私にもそう見えたので、この方法はボクシングでは大変実用的な素晴らしい方法だと思います。
tomittさんの動画でこの話を聞けて得をした、と思っています。
tomittさんの他の動画も、優れた内容の動画ばかりだ、と感心しています。

YouTube「体育の秒」