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2015年03月16日(月曜日)
金銭の貸借2(宇田経済学の話の続き)

昨日の記事の続きを書きます。

貸金は借金者への与益ではない、と思う様に成った。
借金者が受益するのは借りたカネで益を購入する時であって、借金した時点ではまだ受益していない。
金銭の貸借は、受益出来ない状態の借金者を受益出来る状態にする操作であり、それ自体は益の授受ではない。
益の授受が出来るか出来ないかを決めるのは
メタ価値だったので、これはメタ取引と呼ばれるべき物だ。

通貨の元来の機能が
記録・計算・証拠であった事から考えると、金銭の貸借は記録の改ざん、証拠の転用だ。
金銭の貸借が元来はその様なウシロメタイ物である事は、借金者が借りたカネで益を購入する代わりに益の売り手から直接益を借りるという行動に出ていない所、に表れているのではないか。
借金者は、益の売り手には、これは自分で稼いだカネだ、という顔をして支払いをする。
これは、自分の過去の与益量を超えて買う事は出来ないというルールには従っていますよ、という風にウソを吐く事に当たる。

記録の改ざんの観点から言うと、金銭の貸借は、テニスの試合で、このインをアウトにしてくれれば、ここのアウトをインにしてやる、という取引をプレーヤー同士がする様な物であり、これは当事者双方が「それでいい」と言っても許されないはずだ。

しかし、そういう厳しい事を言うのなら、金銭の譲渡だって同じのはずだから、
譲渡の論理についても再考の必要がある。

負の通貨を使えば、借金者は借りたカネで益を購入する代わりに、所持金ゼロのまま店に行って益を購入できる。
その場合、買い手は売り手から負の通貨を受け取る事に成る。
先述した様に、負の通貨には、捨ててしまえば簡単に証拠隠滅できる、という証拠機能上の欠点があった。
この欠点を補う方法として、誰かが負の通貨を持っている事の証拠は別の誰かが保管し、その別の誰かにとっては、その証拠を捨ててしまうと損だ、という風にしておく事が考えられる。
金銭の貸借における貸金者は、その別の誰かだ、という理解の仕方も出来る。

これで、借金者と経済の関係は結構分かったが、貸金者と借金者の関係、貸金者と経済の関係はどうなのだろうか?
貸金者にとって貸金は、持っていても使わないカネを貸す物だから、ちゃんと戻って来れば、貸さなかったのと同じだ。
したがって、利子に妥当性が有るとすれば、それは、戻って来ないかもしれない、というリスクを根拠とする物だろう。
[ (貸金額) + (利子) ] × (戻って来る確率) = (貸金額)
この式で定まる利子を超える利子を付けるといけないのだろうか?

何と言っても、借金者はどうしても今直ぐ借りる必要があるから利子が高くても頼まざるを得ない、という借金者の弱みに付け込んで貸金者が高利で貸す、というパターンが本当は実態なのだろう。
そういう借金者は、既に困窮している事からも分かる様に、返済能力が低く、貸したカネが戻って来る確率が小さいので、利子も高く成る、という考え方も成り立ち得るので、そういう高利を一概に不当だとは言えないが、確率論由来の利子を超えた高利を借金者が呑まざるを得ない場合に借金者がする納得は、正常な納得とは別の種類の納得であるとして、分けて考える必要があろう。
いわゆる「仕方がない」という納得だが、これは
価格競争における納得と共に、特別な詮索を要するかもしれない。

価値保存の理解として、
2012年01月20日の記事に書いた、生卵を与えたらその分生産力がアップした、という路線が的外れだと、2012年02月25日の記事で気付いた事を教訓にして、益の貸借の利子について、昨日の記事に書いた、食事を与えた相手が何十年も活躍した、という路線は的外れらしい、と後で気付いた。
物理学・生理学的なメカニズムは
アテ価値であり、そうでない価値である益の貸借契約の内容の妥当性を決めるのは、どれだけの与益に対してどれだけの義務減少を設定すると、与益し義務を減らしたい人が納得するのか、という心理学的な基準だから、物理学・生理学的なメカニズムは直接には、益の貸借契約の内容の妥当性には関係しない。

義務の問題なら、要は納得だから、無利子で納得するか否か、有利子で納得するか否か、の詮索と成ろう。

一見すると、経済に益を貸す事のアテ価値への寄与も納得に影響し得るかに見える。
しかし、これは、どれだけ貸してどれだけ戻って来れば納得かという、貸した量と戻って来る量の比較のみに基づいた判断の仕方ではなく、借りた人が成功すればたくさん戻って来なければ納得しない、という考え方であり、
開封理論的な公平性に反する。
いわゆる出世払いや株式投資では、借金者の成功の度合いによって返済額が変わるので、これは金銭の貸借よりも進んだ契約形態として、現段階では考察を保留としておく。

昨日の記事で利子と時間の関係が深い事に気付いたので、所有時間という指標を導入して
手袋の話を分析してみると、何か分かるかもしれない。
所有と使用の区別も必要なのかなあ。

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昨日の記事に書いた規制緩和の内容を整理しました。
原始 益の交換が禁止されている。(自分の事は自分でやれ)
第1規制緩和後 益の交換は許されているが、同時対向でなくてはいけない。(通貨を使用できない)
第2規制緩和後 通貨の使用(経済への貸益)が許されているが、金銭の貸借(経済からの借益)は禁止されている。
第3規制緩和後 金銭の貸借が許されている。(経済から益を借りる事が出来る)
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宇田経済学@持論@学問