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まず、以下の不等式を見て下さい。
(N年後までに買うつもりの金額) ≦ (現在の所持金額) + (N年後までに売るつもりの金額)
この式は、現在持っているおカネとN年後までの総収入を合わせた金額の範囲内であれば、N年後までに購買する事が出る、という意味です。
この条件が成り立っていさえすれば、販売計画と購買計画は各人の自由であるから、全員が
(N年後までに買うつもりの金額) = (現在の所持金額) + (N年後までに売るつもりの金額)
という風に計画する可能性が有ります。
そう成るとは限らないけれど、そう成らない保証を正定値通貨制度は与えていません。
もし全員が、
(N年後までに買うつもりの金額) = (現在の所持金額) + (N年後までに売るつもりの金額)
という風に計画してしまったら、
この式を全員分足し合わせる事によって、
(N年後までに買うつもりの金額の全員分の合計) = (現在の所持金額の全員分の合計) + (N年後までに売るつもりの金額の全員分の合計)
と成ってしまい、これでは、(N年後までに売るつもりの金額の全員分の合計)が、丁度(現在の所持金額の全員分の合計)だけ不足するので、購買計画に実現されない部分が出てしまいます。
これを私の宇田経済学では「おカネが不渡りに成る」と言います。

全員が
(N年後までに買うつもりの金額) = (現在の所持金額) + (N年後までに売るつもりの金額)
という風に計画してしまう可能性は小さいが、全員が
(N年後までに買うつもりの金額) > (N年後までに売るつもりの金額) > (N年後までに買うつもりの金額) - (現在の所持金額)
という風に計画してしまう可能性は、それよりは大きい。
この場合でも、
(N年後までに買うつもりの金額の全員分の合計) > (N年後までに売るつもりの金額の全員分の合計)
と成ってしまい、やはり、購買計画に実現されない部分が出てしまう。

簡単の為に人生を百年だと仮定し、前半の50年間は所持金額を徐々に増やして行き、後半の50年間は所持金額を徐々に減らして行くならば、おカネが不渡りに成る事を回避できます。
本来は、これが年金制度の原理とされるべきです。

話を元に戻して、全員が、
(N年後までに買うつもりの金額) = (現在の所持金額) + (N年後までに売るつもりの金額)
という風に計画してしまう場合を考えます。
そういう風に計画しても構わないんだよというのが、売る人におカネでの支払いを承諾してもらう為の大前提です。
ところが、おカネには本当はそんな力は無い。
それも、全員分を考えるならば、おカネの全額が使えないおカネだ、という事です。
そんなおカネを「これで物を買えますよ」と言いながら渡すわけだから、これはおカネ詐欺です。

正定値通貨の本質は無限連鎖講である事です。
無限連鎖講で有名なのは、法律で禁止されているネズミ講ですが、ネズミ講の様に親より子が多い場合だけでなく、親の数と子の数が同じでも無限連鎖講だと言うべきです。
正定値通貨は、親の数と子の数が同じ無限連鎖講です。
ネズミ講がどのようであるかを参考に考えれば、親の数と子の数が同じ無限連鎖講も、さぞかし次の様な特徴を持っている事だろうと直感できる事でしょう。
(1) 局所では尻尾を出さない。
(2) 必ず行き詰る。永続は不可能。

おカネの不渡りというのは(2)です。



最終更新2023年07月10日