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フルステップBFSのイメージ 最初に前脚だった脚が、後脚に成るまでの間に、棒幅跳びの棒の様に働いて、ロス無くリーチが伸びる。 実際には、膝を使って上下動を無くすし、ロスが無いどころか、加速効果も生じる。 私がフルステップBFSに似た技を初めて意識したのは、高校生の頃に、自宅の近所に住みAFS系拳法の道場に通っていた友人が、歩み足でのAFSパンチを、普通より遠くまで届くでしょ、と言って、私に見せた時だった。 その頃の私は、AFS系の空手指導書を見ながら練習していて、そういう技は、その中に追い突きとして掲載されており、それも練習していたので、その時には反語的に、どこが珍しいんだ?という風に思った。 私は組手の経験が無かったので、遠くまで届く、という実感する機会が無かったのに対して、その友人は、道場に通っていたので、組手で遠くまで届く事を実感したのだと思う。 何も習わなければ自然に必要な動きが出来るのに、空手や拳法を習うと左右の足の前後関係を変えなくなる、というのは皮肉な話だ。 専門的な技術体系に入り込んでしまうと、学習が進んで改めてそれが出て来るまでは、素人が何も習わなくても元から持っている合理性を、いったん喪失する、というのは、灯台もと暗し、みたいな話だ。 多湖輝さんが発する警句を思い出す。 その後、大学の空手部で、フルステップBFSに出会った時には、今度は、その遠くまで届くという価値が分かった。 大学1年生の夏合宿が終わって、また普段の練習場所での練習が始まったばかりの頃、主将の高尾さんが私に対して行なった。 それまで、私は、打ち込み(って言うのか知らないけど)の練習で、先輩が自分に対してBFSした時に、それが届きそうな位置から、その起動よりワンテンポ遅れてバックステップを開始し、着地点には先輩のBFSは届かない、という風にする事が出来た。 それに対して、高尾さんは、一人でか他の先輩方と一緒に攻め方を考えたのだろう、と私は思っている。 そう考えるには、それなりの出来事があって、OBが来た時に、同じ練習項目で、いきなりBFSせずに一歩踏み込んでからミゾオチに当てて来た事があった。 何人ものOBが入れ代わり立ち代わり当てて来た。 一発あたりは、許容範囲内だったが、何回も繰り返して耐える義務は無い類のものだった。 打ち込みの練習だからこちらは反撃しないのに、反撃有りの場合には出来ない準備踏み込みで当てて来る、という態度には腹が立った。 それまで一度も会った事の無い人達であったが、どうも恨みを持たれている様であった。 で、問題の瞬間、私は、自信を持ってバックステップしたが、高尾さんのBFSは余裕で届いて、私の後ろ側の腕(手首と肘の間)の背に、寸止めルールに適合した当たり加減で当たった。 これは、打ち込みの練習ではなくて、略式の自由組手だった、と思う。 私は、買いかぶられていたきらいがあるので、腕でブロックした、という風に思われた可能性があるが、この腕は偶然その位置にあっただけだった。 私は、一瞬どうして届いたのか分らなかった。 私が不思議がっているだろう、と高尾さんが思っている風に私には見えた。 一瞬間を置いて、じわ~っと、どうして届いたのか分かって来た。 私は、その高尾さんの行ないをどういう言葉で賞賛すべきか、言葉に詰まっていると、その私の沈黙は高尾さんに不審がられた。 私が良く思っていないのではないか、良く思っていないとしたらそれはけしからん事だ、と思っている様に高尾さんの様子は見えた。 私は、良く思っていない、と誤解される事は避けねばならない、と焦ったが、言葉が伴わなかった。 フルステップBFSには、左右の足が揃った瞬間が無防備に成る、という欠点がある、と考えられる。 自分で経験したわけではないので、違っているかもしれないが、左右の足が揃った瞬間に攻撃されると弱い、という話を、空手についてだったか、剣道についてだったか、聞いた覚えがある。 感覚的には納得できるが、どうしてそう成るのかは、まだ分かり尽くさない。 長刀は刃よりも内側に入り込まれたら為す術が無い、という事情と同様に、相手の攻撃が最初からフルステップだと分かっていれば、カウンターで討ち取れそうだ。
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最終更新2015年02月21日 |
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