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試合時間が長過ぎる
空手の試合時間は確か3分間だったと思う。
格闘技イヴェントなら3分×何ラウンドとか、5分×何ラウンドとかだ。
これは実戦の状況には合わないと思う。
実戦なら1人を倒すのに使える時間は、10秒以内とか30秒以内とかではないだろうか。

寸止めルールの欠点
(s1) 本当にその1本でヒトは倒れるのか、が良く分からない。
  防御攻撃共に技術のみが評価され、威力や打たれ強さが評価されない。
(s2) 実打では被打部位からの反作用を利用して直後の動きを組み立てる事が出来るが、寸止めではそれが出来ない。
(s3) 実打では、先行打撃による敵の崩れを利用して後続打撃を撃ち込むノウハウが重要だが、寸止めでは第1打撃だけしか評価されない。
寸止めでも、先行打撃による敵の崩れを利用して後続打撃を撃ち込む展開は存在するが、それは、自分の先行打撃を敵が防ぐ事に成功した場合に限られ、自分の先行打撃を敵が防ぐ事に失敗した場合には、そこで試合が止められてしまうので、後続打撃を実行する機会が与えられない。
したがって、寸止めルールでは一撃必殺のみが評価され、数撃必殺は評価されない。

これらの理由によって、寸止めルールの試合で勝つ事を最終目的とする空手家は、威力や効果に対する考えが甘く成ってしまう。

フルコン空手ルールの欠点
(f1) 顔面への手技が禁止されている。
(f2) 急所への攻撃が禁止されている。
(f3) 柔術系や相撲系の技が禁止されている。

安全性が理由なら、柔術系や相撲系の技を禁止する必要は無いはずだ。
フルコン空手が最強の格闘技だと言いたいなら、押したり投げたり絞めたりする敵とも戦う必要が有る。

キックボクシング・ルールの欠点
(k1) 拳にグローブを被せる。
(k2) = (f2).
(k3) = (f3).

キックボクシング・ルールにするかフルコン空手ルールにするかという問題の本質は、(k1)か(f1)かの違いだ。
この悩ましい問題の妥協点が総合格闘技ルールのオープンフィンガーグローブで与えられている。
ガードという技術は、拳にグローブを被せた場合には非常に有効だが、拳にグローブを被せない場合には、ガードの隙間を手が通る分だけ有効性が減る。
だから、(k1)が防御を有利にするのは、クリーン・ヒットした場合の事だけではない。

総合格闘技ルールの欠点
(u1) 手にオープン・フィンガー・グローブを被せる < (k1).
(u2) 試合場が狭く有界である。
(u3) 試合場の床面が滑らかで柔らかい。

実在の色々な街路や色々な建物の屋内の色々な場所は、(u2)(u3)とは違う。
硬い路面の上に小石でも落ちていようものなら、出来るだけ立位を維持する方が無難だ。
滑らかな床面に皮膚を擦っても怪我をしないが、表面が粗い路面に皮膚を擦ると擦り傷を負う。
柔らかい床面は投げ技を不利にし、滑らかな床面は寝技を有利にする。
つまり、現行の総合格闘技の試合場は立ち技を不利にしている。

総合格闘技の試合を見ていて、とても良いスタイルが育っている、と思う。
組み技が有る事によって打撃技の本来の在り方が蘇っている。
空手やボクシングの様な打撃オンリーの試合では、一発で倒せない技、弱打を多数回当てて倒す、という戦術が有効だが、組み技が有る場合には一発で倒せない技を不用意に出すと組み付かれてしまう。
総合格闘技の試合でも一発で倒せないローキックは多用されるが、これとて本当は例外ではない。
相手にその気が有れば、ローキックを蹴れば必ず組み付かれてしまう。
そこで、総合格闘技の試合では打撃技のどの一発も全てフルスイングされる。
これはボクシングでは素人的で下手なボクシングと見なされる戦い方だが、その方が実戦的である事が総合格闘技の試合で分かったのだ。
ボクシングやキックボクシングやフルコン空手によって一度は反証されたかに見えた伝統空手の主義主張が正しかった事が裏付けられた形だ。
しかし、伝統空手の試合で一本が判定される様なクリーンヒットを当てられた敵の勢いが衰えない場合が多い事も、総合格闘技の試合を見て分かる。
総合格闘技の試合を見ていると第1印象としては、ボクシングやキックボクシングやフルコン空手や伝統空手の試合を、なんて無意味な事をやって来たんだ、と感じる。
総合格闘技の試合で見られる様な格闘スタイルが本当の正しい戦い方であり、我々は真理に到達したのだろうか。
それは早合点である。
おそらく、急所への攻撃が有る場合には、また格闘スタイルがガラッと変わり、それを見ると2022年現在の総合格闘技の試合を、なんて無意味な事を、と思う事だろう。
そこで、組み技と打撃技の勢力関係がまた逆転し、打撃技が格闘の主力に復権するのではないか。
組むと目や金的を守るのが難しい。

私が提案するルール
(m1) 試合場は実在の色々な場所の平均値みたいな模型とする。昼夜別、晴雨雪別、季節別に試合う。
(m2) 外寸や重量が人体と同じであるハードウェア・ロボットを戦わせる。
(m3) ロボットの操縦は遠隔操作で行なう。
(m4) インターフェースは、知覚がVR方式で、入力がプレイヤーの実身体の関節に付けられたタグの位置情報をセンサーで読み込む方式とする。
技術が進歩すれば画像認識方式でタグ無しで入力できるのではないか。
(m5) 技の効果はロボットのセンサーで検知し、検知内容に応じてロボットの動きが鈍る様に設定する。
あるいは、ロボットの丈夫さを人体と同じぐらいにして、負けたロボットはぶっ壊れる、というのでも良い。
人体と同じ大きさ重さで人体と同じ動きが出来るハードウェア・ロボットを作るのは難しい、プレイヤーが自分の身体を鍛えて抗堪性を高めてもそれが反映されないのはいけない、といった問題が有る。
しかし、将来像としては建設的な提案だろう。
プレイヤーが直々に戦うなら、(m2)(m3)(m4)(m5)をやめて、その代わりに次の様にしてはどうか。
(m6) 急所のみ寸止めルールにする。
(m7) 頭部への踏み付けや手加減できない関節技(関節を脱臼させる蹴りなど)は急所への攻撃と見なす。
(m8) 床面や壁面の突起、角や障害物は適度な硬さのゴム製の模型とし、そこに身体がぶつかった事によるダメージは、審判員の目測かセンサーで計測する。
(m8) 顔面への手技は掌底と背手のみ許可する。
(m9) サッカーボール蹴り、肘打ちや腕による攻撃は蹴りとみなす。
(m10) 手加減が出来る関節技と閉め技はギブアップ表現または失神で決着とする。
(m11) 試合場は常時衆人環視状態とし、選手は下着のみ着用して(パンツ一丁で)試合場に入り、試合用の服と靴は各選手のセコンドが試合場内の敵の選手に渡し、敵の選手のチェックを経た上で、敵の選手から試合場内で受け取ってその場で着用する。
(m12) 試合開始30分前からトイレ休憩開始までは指定された会話(軽い世間話)に参加し質問に答え続けなければいけない。これは、実戦の不意打ち性を再現するための気を散らす措置です。
テニスや競馬の様に芝、ダート、アスファルトの上で試合をすべきだ。
ダートでは、足で砂を蹴る目潰しを許可する。
アスファルトの上では靴を履いて戦う事が許可されねばならない。
また、場外に出されると高所からの転落死と見なされる判定も適宜導入すべきだ。

まだ考え落としが有るかもしれませんが、気が付き次第直して行くと良いルールが出来ると思いますよ。

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伝統空手の競技に「型(形)」という種目が有るが、これについて、ものすごく厳しい事を考えてしまった。
中段を全力で貫手で突く所が型の演武の中に有るのを何回も見たのですが、演者が貫手で試割りをどれだけ以上できる事を事前に証明してないと、この部分の得点はゼロとする、みたいな採点基準が本当は正しいと思う。


最終編集2023年11月26日