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2004年3月27日および29日に日本物理学会第59回年次大会にて発表完了。
27日は物理教育部門で「非相対論的力学における慣性力の教授時の留意点」、29日は素粒子論部門で「古典物理学の最自然単位系とプランク長」。
内容は下記。
物理教育部門での発表については、発表直前に急きょ弁論内容を変更した。
その分を会場に着いてからOHP用紙に手書きで書き足した。
発表中に、講演概要では矢印ベクトルを用いる教え方として位置ベクトルから説明を始めているが、これは誤りで位置ベクトルではなく位置から話を始めねば、矢印ベクトルで考えても原点の運動に起因する慣性力は出て来てしまうので、矢印ベクトルを用いると慣性力を上手く教える事が出来ない、という事を徹底的に主張する事が出来ない、と訂正しておいた。
そして、位置が時刻の関数として与えられた場合に速度ベクトルと加速度ベクトルの定義を提示し、そこに座標系の入り込む余地が無い事を指摘した。
次に一般の教え方として、静止系から見た矢印ベクトルの時間変化率と運動系から見た矢印ベクトルの時間変化率を関係付ける式を提示し、その式が成り立つとする事が論理の飛躍である事を指摘した。
位置ベクトルにこの関係式を適用して速度ベクトルの関係を求める所はまあ良いとしても、速度ベクトルにもう一度この関係式を適用して加速度ベクトルの関係を求めるときに至ってはかなり自信が持てなく成って来る。
講演概要には、僕は学生時代に誤解しそうになった、と書いてしまったが、正確には、誤解しそうにはならなかったが論理の飛躍のために結果に自信を持つ事が出来ない状態に陥った、と訂正しておいた。
その後で、論理の飛躍無くこの問題を扱う方法を提示した。
そもそもこの問題は座標変換の問題だから座標を用いるのが正しい、と述べ、座標を用いる方法の仮定と結論を述べた。
内容は下記。
結論の右辺第2項はミスのようだ。
矢印ベクトルの代わりに座標を用いると途中に論理の飛躍が無くロジックが分かり易いが仮定から結論を導き出す事が技術的に難しく成ってしまう、という事を最後に述べた。

講演概要

27pWQ-1
日本物理学会講演概要集
第59巻
第1号
第2分冊
401ページ。
OHP 

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素粒子論部門での発表では、まず、2003年秋季大会での発表内容との関連性に言及し、その後で概要に書いてある事を一通り述べた。
途中、最自然単位系での長さの1単位が1.7×・・・であってプランク長が1.6×・・・である点を、概要に誤って反対に記載してしまった事をわびた。
補足として、一般相対性理論ではなくニュートン重力を使うと異なる結果に至る事、古典物理学の基礎方程式の完全な組を考えるときに、電子のスピンを考慮に入れなかった事、デルタ関数の微分を用いれば古典論のレベルで電子のスピンを考慮に入れる事も出来るであろう事、古典ノン・アーベリアン・ゲージ場も考慮に入れなかったが、結果には影響しないであろう事、を述べ、さらに、一般相対性理論構築の端緒となった重力質量と慣性質量の一致の認識について、僕はこの言い方を好まない旨を述べた。
科学史においては重力質量と慣性質量が別概念である事を認識した事が批判精神に富む優れた態度であったとされるが、そんな事を言うんだったら電荷にはソース・チャージとリアクティヴ・チャージがあり、これらは別概念だ、とか、ニュートン重力で重力質量はさらに概念的にはソース・マスとリアクティヴ・マスに分けて考えねばならぬ、とかいう事になるのであって、それは変だろうと、重力質量と慣性質量が別概念であると認識した上で、それらが一致している、と言い表すよりも、ガリレイのように重い物体も軽い物体も同じ加速度で落下する、という言い方を用いる方がズッと洗練されていると、この様に自説を述べておいた。
途中で、僕の体が邪魔になってOHP像が良く見えない、と言う人が出るなど、聞き手の僕の発表に対する関心は高かったようだ。
最自然単位系での長さの1単位とプランク長がズレた原因として、プランク定数の測定を重力場中で行なっている事が考えられないか、ともコメントしておいた。

講演概要

29pZN-8
日本物理学会講演概要集
第59巻
第1号
第1分冊
8ページ。
OHP 

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OHP-sr-2


OHP-sr-3


OHP-sr-4


最終更新2017年06月30日