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GC-17 BR




見ての通り、ゼンマイを動力源とする機械式腕時計。
ゼンマイの巻き上げ方式は自動巻き、手巻きも可能。

時針は24時間ではなくて12時間で1周する。
分針は60分で1周する。
秒針は60秒で1周する。
つまり、ベゼルが特別なだけで、針は3つとも普通の時計と同じ。

インナーリング:左リュウズ(引かない)で回転させる。
アウターリング=可動ベゼル 

時刻合わせは、右リュウズ(1段引きのみ。2段引きは無い)を引いて、それを「時計回り」方向に回して針を時計回り方向(順方向)に動かして行なう。
このリュウズの回転方向は普通と違う。

左上のリュウズはインナーリングを回転させるためのもの。

私が購入した当時は型番は GC-17 だったが、2017年春に調べると GC-17S という型番に成っているらしかった。

私(宇田)は、ハワイでの日米物理学会合同2006年秋季大会に、この時計を着用して行った。
この事はこの時計の価値を高めただろう、と思う。
ハワイでの私の発表は文法物理学の提唱という歴史的な大事件だと思うからだ。
この時計を選んだには、それなりの理由があった。
私は、何事にも一々理由を付けねば気が済まない気質の、持ち主だからだ。
まず、何故ワールドタイムなのか?
これは、時差に対処するためだ。
それだったら、デュアルタイムでも良いではないか?
私はデュアルタイムの腕時計も持っている。
しかしこれは、何度も故障したので大役は任せられないし、宇田はこれには既に、自室内読書時着用という別の使途を、割り当てている。
また、海外に出る時にワールドタイムモデルを用いなければ、宇田にとってワールドタイムモデルは使わずに飾っておくだけの置物に成ってしまい、それでは宝の持ち腐れだ。
では、なぜスケルトンなのか?
購入時には、ある意味、これは偶然だった。
ワールドタイムモデルであるという特徴以外の特徴を、もう一つぐらい兼ね備えている物を、という基準で購入した。
その時にはまだ、宇田にとって、もう一つの特徴というのがスケルトンでなくても良かったかもしれない。
しかし、これを着用してハワイへ出発する数日前には、宇田はスケルトンでなくては困る一つの理由に気付いていた。
それは、パワーリザーブ表示機能だ。
国内での学会発表と違って、ハワイでの学会発表は、約1日旅程が長い。
正確に言うと、国内での学会発表では、出発してから40時間腕時計が止まらずに動き続ける事が約束されていれば十分なのに対して、今回のハワイでの学会発表については、もっと長時間時計が確実に動き続けなくてはいけなかった。
40時間という時間は、全く巻上げを行わない場合の普通の機械式自動巻腕時計の大体の最長連続稼働時間だ。
したがって、今回のハワイ旅行の場合には、途中で宇田が、意識的にであれ無意識的にであれ、腕を動かす事によって、時計が巻き上げられる、という事がどうしても必要だった。
ならば、その巻上げ量が十分であるか否かを、着用している宇田自身は、随時目で見て確認したい、と考えるのが自然だ。
そのためには、パワーリザーブ表示機能が必要だ。
スケルトンモデルは、いわゆるパワーリザーブ(表示)モデルではないが、香箱内のゼンマイが外から見えるので、巻き上げ量を随時目で見て確認することが出来、実質上パワーリザー表示機能付と見なせる。
宇田の持っているデュアルタイムモデルは、パワーリザーブ(表示)モデルでもないし、スケルトンでもない。
機械式腕時計ではなくクォーツを持って行けば良いのに、という考え方も有り得るが、宇田の持っている腕時計で、バンドが皮製なのはすべて機械式自動巻タイプだ。
着衣がスーツの場合には腕時計のバンドは皮製でなくてはいけない、という着こなし作法をどこかで読んだ覚えが、宇田にはあった。
そんな事を知っているとは、全く宇田らしくない話だが。