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2022年08月26日(金曜日)
2022年07月30日放送分の朝まで生テレビの感想2

田原総一朗の「違う」という発言の真意は、次の部分で明かされる。
大体のタイミング 発言者 発言内容
0:21:52 田原総一朗 ちょっと、ねえ、半田さん、
0:21:54 半田滋 はい
0:21:55 田原総一朗 この、池田以後ね、要するに、ハッキリ言えば「日本の安全保障をアメリカに守ってもらおう」でやって来た。
これをあの人は「間違いだ」と言うんだけど、どう?
0:22:09 半田滋 うーん、あのう、まあ、もちろん日米安保条約が有った事は間違いないし、
0:22:15 田原総一朗 だから安保条約を作ったの。
0:22:20 岩田温 あの人は「間違いだ」、と言ったけどねえ、それ、ちょっと言い過ぎだよ。
0:22:24 田原総一朗 ん?
岩田温 私はそんな「間違いだ」と言ってないよ、そんな。
0:22:27 田原総一朗 何が?
岩田温 戦後の平和をね、間違いだと言ってないよ。
0:22:31 田原総一朗 間、言ったじゃない?
岩田温 日米同盟と自衛隊が有ったから戦後の平和が有ったと、いう風に言いたいだけであって、あなたの言ってる事とは違う。
0:22:40 田原総一朗 違うよ、池田以後日本の安全保障はアメリカに委ねられている、という事を言ったんだよ。
0:22:47 岩田温 うん。
0:22:48 田原総一朗 それは間違い?
0:22:50 岩田温 それはねえ、半分間違い。
0:22:52 田原総一朗 ん?
岩田温 半分間違い。
田原総一朗 (無言)
0:22:56 岩田温 自分達で本来はやるべき。
0:22:58 田原総一朗 という事は、あの時に憲法改正をして自衛隊を軍隊にすべきだった?
0:23:02 岩田温 その通り。
0:22:40の田原総一朗の発言は、「違う」とはどういう事かの説明にも成っている。

ついでの話だが0:22:09の半田滋の発言が「日米安保条約が有った事は間違いないし」という風に成っており「日米安保条約が有った事は間違い
ではないし」とは成っていない事は、この発言が護憲体制を作った事が正しい選択だったか否かには触れていない事を意味します。
この発言は前置き部分に過ぎないのでハッキリしないが、言及を避けたのかもしれない。

「違う」という発言の意味をもう少し補足説明します。
前提として、相手の話が終わる前に相手の言いたい事が分かってしまったら、相手の話が終わる前でも相手の言いたい事への自分のコメントを言っても構わない、という考え方が有ります。
原理原則、基本としては、相手の発言が終わるまで待って、相手の発言が終わってから自分の発言を開始するのがルールですが、相手の話が終わる前に相手の言いたい事が分かってしまった場合にはその限りではない、という事です。
そういう場合「(あ!分かった)要するに(あなたの言いたい事は)・・・ですね?」という言葉から自分の発言を始めれば、十分に丁寧です。
相手の言いたい事を例えば四文字熟語で言い当てたりすると笑いが起こる場合すら有ります。
これがレベルの高い協力的な討論であり、妨害的な討論というのはレベルが低い討論なのです。
しかし、この方法が正当なのは、相手の言いたい事はこうだと思った内容が的中している場合だけです。
的中していない場合には、そういう発言は落ち度と見なされ、相手から「違う」と言われます。
「(あ!分かった)要するに(あなたの言いたい事は)・・・ですね?」という言葉を省略して、その後に続く自分の意見をいきなり述べた場合、「違う」かどうかが相手にはその発言内容から分かります。
この場合も、「違う」という相手の発言は、「(あ!分かった)要するに(あなたの言いたい事は)・・・ですね?」という省略された言葉、頭の中で思ってる事が違う、という意味であり、その後に続く自分の意見(発声された部分)が間違っている、という意味ではありません。
それなのに自分の意見のうちの発声された部分を間違いだと言われたと誤解しているのが岩田温のケースなのです。
「間違っている」と「違う」の意味が微妙に異なる事も、ポイントです。
間違っている=誤っている、違う=異なる。

ここまでの流れを追ってみると、まず0:19:24に田原総一朗が護憲体制を作ったのは誰かという問題を提起した。
これに対して岩田温が直ぐに0:19:25で護憲体制を作ったのは吉田だという意味の反論をしている。
この時点では、論点のズレは存在しない。
0:20:15に田原総一朗は「なぜ?」という発言で、護憲体制が確立するに至った経緯の話を始めている。
経緯を自分で言えば良かったのに、学校の先生みたいに発問して相手に答えさせたせいで、発言の交通整理が難しく成っている。
田原総一朗がこういう発問をするのは、自分は知っている本当の事を発言して知らせるに際して、そのまま自分から答えを言ってしまえば、それは当たり前の事で相手も元から知ってたよ、という風に認識されてしまったり、そうではない事が証明されない状態に成り、視聴者がそこをボーッと聞き流してしまうからだ。
それを防ぐ為に田原総一朗は、まず発問し、相手が間違った答えを言うのを待って、その後で「違うよ、そうじゃなくて本当は・・・・なんだよ」という風に発言して大向こうを唸らせる(おおむこうをうならせる)、これが彼の常套手段です。
したがって多分、0:20:16に岩田温が答えた「憲法改正って言っても憲法改正が出来ないから」という理由について、「みなさん大体そんな様な事が理由だと思ってるでしょうけど、本当はそうではないんですよ」「本当はこうなんですよ」という話を田原総一朗がするつもりだったと考えられます。
このうちの「みなさん大体そんな様な事が理由だと思ってるでしょうけど、本当はそうではないんですよ」の部分が、0:20:22の田原総一朗の「今のは全くインチキなんだよね」という発言だと考えられます。
したがって、この発言の直後に「本当はこうなんですよ」という発言を田原総一朗がする事が予想されたわけです。
それを私も聞きたかったのですが、0:20:27に岩田温が「インチキじゃないよ」という発言で、その話の流れを断ってしまった形です。
インチキかインチキでないかも、護憲体制を作ったのが吉田なのか否かも、田原総一朗の言い分を聞いてみないと分からないじゃないですか。
相対性理論は間違ってるとか、永久機関は出来るんだとかいう主張は、理由を聞いてみなくても間違った主張だと分かりますが、それでも、「あなたの主張は間違ってる」と言うにはどこがどう間違ってるか確認する必要が有り、そういう確認をせずに言えるのは「あなたの主張は
どうせ間違ってる」という言い方までです。
どうせ間違ってるから詳しくは聞かない、という態度は許されるけど、それでは間違ってる事を確認した事には成りません。
0:20:50の田原総一朗の発言が「本当はこうなんですよ」の部分だと思われます。
つまり、護憲体制を作った本当の理由は、「憲法改正って言っても憲法改正が出来ないから」ではなく、「安全保障を主体的に考えるとどうしても軍事大国に成る」から、という理由だ、というのが田原総一朗の意見であるようです。
さらに、この意見を田原総一朗は、護憲体制を作ったのは吉田ではなく池田だという意見の根拠として述べている様です。
したがって、0:20:50の発言でもまだ田原総一朗は、護憲体制を作ったのは誰かというテーマからブレていない、と考えられます。
しかし、田原総一朗も岩田温の発言につられて、護憲体制を作ったのは誰かという問題から、護憲体制を作った事は正しい選択だったのかという問題に移行している部分が有ります。
それは0:21:45の「でも日本平和だったじゃない?」という発言です。

この様に、
17日@2022年08月@日記で取り上げた部分については、田原総一朗が一貫して、護憲体制を作ったのは誰かという問題を論じているのに対して、岩田温は護憲体制を作った事は正しい選択だったのかという問題とすり替えて議論を撹乱(かくらん)している。
しかし、元はと言えば、護憲体制を作ったのは誰かという問題よりも護憲体制を作った事は正しい選択だったのかという問題の方がずっと重要であるのは明白であり、前者は後者の判断材料に過ぎない。
それなのに田原総一朗の発言では、0:20:50の発言内容が、護憲体制を作ったのは誰かという問題の判断材料とされている事は、一種の本末転倒である。
田原総一朗は、護憲体制を作ったのは吉田じゃない事ではなく、0:20:50の発言内容をこそ自分の発言の論旨とすべきだった。
また、0:18:55の田原総一朗の発言を見れば、元はそういう問題設定に成っていた事が分かる。
その逆をやったせいで、中身の無い議論にものすごく時間が浪費されてしまっている。
0:19:24で田原総一朗が自分の持ちネタの方へ我田引水した事が本末転倒を招いている。
吉田か池田か、という問題設定ではなく、吉田や池田が何を護憲体制の理由にしたか、という問題設定への復元力を働かせる様に気を付けるのが本当は正しかった。

0:22:48の田原総一朗の「それは間違い?」という発言は、護憲体制が出来たのは吉田首相の時代ではなく池田首相の時代だという認識は間違いですか?という意味の質問です。
これは、間違ってない自信を持ってるくせにした質問だから、岩田温による0:22:50と0:22:52の「半分間違い」という返答は、田原総一朗にとって意外だったはずです。
0:22:52の田原総一朗の「ん?」という発語はその証拠だ、と考えられます。
しかし田原総一朗は「半分間違い」という評価を間違っていると即座に言い返す事はしていません。
0:22:56の直前の行に田原総一朗(無言)と書いたのは、その事をメモするためです。
岩田温がどういう意味で「半分間違い」と言ったのか聞いてみないと、「半分間違い」という評価が正しいか間違っているか分からないからだ、と思います。
先述した「聞いてみないと分からない」という道理を田原総一朗がわきまえている、という事です。
0:22:56の岩田温の「自分達で本来はやるべき」という発言を聞いてみると、岩田温の「半分間違い」という発言は、護憲体制が出来たのは吉田首相の時代ではなく池田首相の時代だという認識は半分間違いだ、という意味ではない事が分かり、「やっぱりか」と拍子抜けするわけです。
0:20:16で「憲法改正って言っても憲法改正が出来ないから」と答えた事によって、その程度にしか分かってない事がバレた岩田温が、0:20:50で披露された田原総一朗の隠し芸を凌駕する隠し芸を持っているわけがないと高をくくっていたが、岩田温から「半分間違い」と言われ、そういう隠し芸を岩田温が出来るのかもしれないと期待したが、出来なかった、やっぱりか、という構図です。

0:22:24の岩田温の『私はそんな「間違いだ」と言ってないよ、そんな』という発言の妥当性を検証してみます。
これは、0:21:55の田原総一朗の発言を間違っていると指摘する発言です。
0:21:55の田原総一朗の発言の該当部分は、岩田温は日米安保条約を間違いだと言ってるぞ、と要約できます。
0:21:42の岩田温の「歴代首相が間違ってたと言ってんの」という発言が、それだと思われます。
はい、言ってます、言ってます。
言ってますね、うん。
0:22:27で岩田温は「戦後の平和をね、間違いだと言ってないよ」と反論しているが、田原総一朗は、岩田温が日米安保条約を間違いだと言ってるぞ、と言ったのであって、岩田温が戦後の平和を間違いだと言ってるぞ、とは言ってないのである。


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