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2021年12月18日(土曜日)
「見切る」とは2

国語辞典で調べると「見切る」の意味は「見こみがないと、見かぎる。だめだと思い、あきらめる」だと書かれていた。
これを原義と考える事にします。
武道用語の「見切り」は原義の「見切り」の流用だ、と私は考えます。
その前提で武道用語の「見切り」を解説すると、次の様に成ります。
原義では「見こみがない」とされるのは自分の商売などの成功ですが、武道では「見こみがない」とされるのは敵の行為(攻撃や防御)の成功です。
従がって「見かぎる」と言うのは正しいけれど、「あきらめる」というのは少し違います。
原義では、自分の商売などを成功する見こみがないと判断してやめるのが「見切りをつける」だから「あきらめる」とも言えますが、武道では敵の行為が成功する見こみはないと判断して自分が何かをやめるのだから「あきらめる」ではなく「高をくくる」に近いニュアンスです。
ただし、「高をくくる」には過小評価するというニュアンスが有り、どちらかと言うと予想が外れる場合に「高をくくる」という言葉が使われますが、武道の「見切り」には過小評価するというニュアンスは無く、予想が的中する事まで含めて「見切る」と言います。
武道では、予想が外れた場合には「見切ろうとした」が「見切りが不十分だった」のであって「見切った」けど敵の行為は成功したとは言いません。

見切りの例を追記しておきます。

ガンマンの決闘で、慌てて何発も撃って来る敵の額をゆっくりと正確に狙って1発だけ撃つ。
これは、命中させる能力が足りない敵に対して有効で、敵の命中率を見切る事だと言えます。

ボクシングや空手で敵の拳での自分の中段への攻撃にタイミングを合わせて全く防御せず敵の顔面を拳で攻撃する。
これは、敵の攻撃技の威力を見切る事だと言えます。