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2019年10月27日(日曜日) | ||||||||||
投資って何だろう(7) | ||||||||||
受注生産方式の長所と短所 需要の不確実性に起因するリスクを無くすには、受注生産方式を採用すればよい。 これは受注生産方式の長所であり、生産先行方式の欠点だ。 それでは受注生産方式には欠点は無いのか、その点について考えてみる。 (1) 受注生産方式では注文通りの品を作り出せるかどうかが技術的に不確実だ。 (2) 受注生産方式では発注から納品までに長い時間が掛かる。 (3) 受注生産方式では発注能力の限界が経済の発展を制限する。 (4) 受注生産方式にしても需要の不確実性に起因するリスクは現実的には無くせない。 (1)はリスクの発生源と成る。 (2)が有るために、生産先行方式の販売業者が既に存在する商品については、販売する競争で受注生産方式は生産先行方式に負ける。 また、時間が掛かるので必要に間に合わない場合も考えられる。 (3)の事情は、ノビタとドラエモンの例を挙げると分かり易い。 ノビタとドラエモンの関係においては、納品者であるドラエモンが受品者であるノビタに提案を行ない、その時点までに既に製品は完成している。 ノビタがドラエモンに「こういうのを作って欲しい」という風に注文する事は無い。 これは、それが出来るほどノビタは頭が良くない、からだ。 もっと現実に即した例として、自動車一般なら既に有るがベンツの自動車が全く無い社会でベンツの自動車を発注する事、なんて誰に出来るだろうか。 発注する為には普通の自動車とどこがどう違う物を作って欲しいかを詳細かつ明確に記述する必要が有る。 それが出来るのは自動車についての専門知識が特別に豊富な少数の人だけだ、と思う。 しかし実際には、そうでない人にもベンツの自動車は売れるのだ。 車重がどうか、エンジン出力がどうか、最高速度はどうか、という事ぐらいなら誰でも注文できる。 しかし、ベンツの自動車が普通の自動車よりも優れている点は、それらだけではないだろう。 それを記述しろと言われても、普通は記述できない。 高度経済成長期の日本ではメーカーがドラエモンの様に消費文化をリードしたが、その後の成熟期にはメーカーは需要をアンケート調査するなどして、それに基づいて何をどれだけ作るか決める様に成った、という話を聞いた事が有ります。 全部ではないと思うけど、でもマーケット・リサーチという言葉が有ります。 マーケット・リサーチなんて、昔は聞きませんでした。 これなんかは、経済が成長するに従がって生産先行方式が占める割合が減り受注生産方式が占める割合が増える事、を意味しているでしょう。 受注生産方式では、また、同じ注文をする人を多人数集めるのも大変です。 それが出来なければ生産者は大量生産(ミシンの活用)が出来ません。 長期に渡って売れ続けなければ設備投資に相応しない場合には、その長期に渡っての注文の全部を一括して注文しなければ、本当の意味での受注生産方式とは言えませんが、未来の需要は不確実だから、そんな事は不可能です。 これは、需要の不確実性が本当の意味での受注生産方式を不可能にする、という事です。 受注生産方式にすれば需要の不確実性に起因するリスクを無くす事が出来るが、しかし需要の不確実性を無くす事は出来ないので、需要の不確実性に起因するリスクを無くす受注生産方式は実現不可能だ、という事です。 これが(4)です。 さて(2)の観点では、受注生産方式の販売者は生産先行方式の販売者に販売競争で負けるのですが、生産先行方式は勝てばそれで良いのか、という問題が有ります。 生産先行方式で競争力を高める為に幾ら売れ残りが出ても構わないという態度だと、資源の無駄使いに歯止めが掛かりません。 実際の経済には、その傾向が有ります。 これは、マネーの無駄使いは敏感に忌避されるが資源の無駄使いは全く放任される傾向が有る、という昨日の私がした指摘の具体例です。 もっと具体的な事としては、工業製品を修理せずに新品に買い換えるか修理するかの選択が際限なく修理せずに新品に買い換える方に進んで行っている、という事実が挙げられます。 |
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