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2019年05月23日(木曜日)
初めに民害が有った

ホッブス著「リヴァイアサン」世界の名著23中央公論社から引用します。

156ページ
「社会状態の外では、各人の各人にたいする戦争状態は常に存在する」
「自分たちすべてを畏怖させるような共通の権力がないあいだは、人間は戦争と呼ばれる状態、各人の各人にたいする戦争状態にある」

155ページ
「侵入者にとって相手の単独の力以外に恐れるもののないところでは、ある人が植え、種子をまき、快適な屋敷をつくりあるいは所有すると、他の人々が力を結合してやってきて、彼の労働の成果だけではなく彼の生命あるいは自由までも奪おうとすることが、おそらく予期されるであろう。そしてその侵略者自身がまた他からの同様な危険にさらされる。」
「このような相互不信から自己を守るには、機先を制するほど適切な方法はない。すなわち力や策によってできるだけすべての人間の人格を、自分をおびやかすほど大きな力がなくなるまで支配することである。それは自己保存に必要な程度のことであり、一般に許される。」

引用は以上。

陰謀論は大抵、善良な大勢の庶民が極少数の陰謀犯の犠牲に成っている、という構図で語られる。
しかし、ちょっと待てよ。
そもそも権力や社会という物は、庶民が善良ではないから、庶民の駄目さが御し難いまでに著しいので、それによって生じる民害を何とかして押さえ込む為に発明された道具だったはずではないのか。

上掲引用文が陰謀論で巨悪として批判されている行為への直接の是認であるかに見える事は十分な考慮を受ける必要が有る。

また、上掲引用文は、自由こそが基本的な権利であり、所有権は自由を保障する手段の中で最も基本的な権利のひとつだ、という私の見解を支持している。

共産主義とは、所有権が置かれてからあまりに長い時間が経過した為に所有権というストーブが発明される前の耐え難い寒さを忘れてストーブを放棄しようとする愚行である、あるいは、それでひと泡吹かせてやろうとするそそのかしだ。