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2015年02月18日(水曜日) | ||||||||||
AFSは急に止まらない | ||||||||||
2015年01月上旬に、全日本空手道連盟(JKF)の笹川堯会長と極真会館の松井章圭館長のトップ会談が実現し、2020年東京五輪でJKFルールでの空手競技実施へ向けて協力して行く事で合意した、というニュースを、 空手の東京五輪競技入りへ全日本空手道連盟と極真会館が歴史的合体@東スポWeb で見て知った。 AFSかBFSかという事と、寸止めかフルコンかという事とは、無関係ではない、と私は考えている。 つまり、AFS空手の試合がフルコン方式で、BFS空手の試合が寸止め方式なのは、そう成るべくしてそう成っているのであって、AFS空手の巧拙を寸止め方式の試合で測定する事には無理が有る、と私は考える。 BFS空手の巧拙をフルコン方式で測定する事は無理ではないが、こちらについては、当てなくたって分かるじゃないか、という理屈が成り立つ様に思う。 当ててみれば、効いたり効かなかったりの差が出て、この部分は、寸止め+推測では分からない。 しかし、そういう偶然的要素や打たれ強さはそんなに大切な事なのか、という批判を受容するならば、BFS空手では肝心な事は当てなくても分かる、と言える。 BFSが寸止めルールに良く馴染む事は、次の様に考えれば良く分かる。 BFSは、敵と自分の重心間に大きな相対速度が存在する瞬間に自分の突き腕が伸び切った状態で敵に接触する、事をもって成立する。 これは、視覚で確認できる事だ。 自動車同士の正面衝突を引き合いに出すと、良く分かろう。 このまま行くとぶつかる、ああ、ぶつかる、ぶつかる、・・・、ぶつかっちゃった、という成り行きだ。 この場合、実際にぶつかるまで待たなくても、ぶつかる直前に既に、その後ほぼ間違い無くぶつかり、その結果、両車の乗員は過酷な運命に晒される、という事は、目に見えて分かっている。 乗員が奇跡的にかすり傷ひとつ負わない場合だってあるだろうけれど、それは、マグレであり、事の本質ではない。 BFS空手にとって、偶然的要素や打たれ強さによって効いたり効かなかったり、というのは、これに過ぎない。 自動車の場合、ぶつかる直前でストップを掛ける事は不可能だ。 車は急に止まらない、というやつである。 しかし、BFSの場合には、ぶつかる直前に突き腕をサッと引っ込める事が出来る。 寸止めルールの試合での腕をサッと引っ込める動作の本当の理由は、腕を取られない様にする為ではなく、これかもしれない。 引っ込めないと当たる。 それに加えて、一本の要件に、重心間の相対速度が生きている事、という条件を加えるべきだ、と思う。 突き腕の伸展が完了した後に衝突なのか、衝突中にも突き腕の伸展の終盤を実行しているのか、どちらが正しいのか、確信を持って答える事は私には出来ないが、前者の場合には、衝突するまで待たなくても結果は分かる、という事だし、後者の場合には、真のコンタクト点の一寸手前に仮想のコンタクト点を置き、そこにBFSが極まれば、真のコンタクト点に極める事だって出来たはずだ、という理屈なのだろう。 AFSとBFSの区別を知らなかった頃の私は、何でもかんでもAFSの考え方で空手の技を理解しようとしていた。 その頃、次の様な経験をして、寸止めルールは不合理だ、と強く感じた事がある。 半年ほどしか居なかった大学の空手部で最初で最後の対外試合をさせてもらった時の事だ。 私は、右足による背足中段回し蹴りで、一本を狙った。 すると、対戦相手は左腕で下段払いし、視覚的には、これによって私の回し蹴りは完封された形に成った。 しかし力学的には、下段払いで回し蹴りが止まったのではない。 寸止めルールだから、ヒットする直前で足を止め、そこから逆回転で足を戻そう、と私が考えたので、私が自力でブレーキを掛けたから止まったのだ。 つまり、ほとんどそこで止まるように私が蹴ったのだ。 ブレーキを掛けなければ、下段払いに回し蹴りならば、結構一杯食わせているはずだ。 寸止めルールでは、力学が無いので、その反応を見て次の技を繰り出す、という事も出来ない。 寸止めしようとすると、腰の動きも、振り抜く場合の様に角度的に先へ先へ浴びせて行く様な動きは出来ず、角度的に後へ残した様な動きにせざるを得ず、技そのものが変わってしまう。 技そのものが、そういう風に変わってしまう事は、力学的な内容の変容に留まらず、その後の技への連絡を変えてしまい、どういう技がどういうタイミングで繰り出されるかという、視覚的に確認できる内容まで変えてしまう。 蹴り技はAFSではないかもしれないが、フルコン空手の技と寸止めルールは相性が悪い、という説明には成ろう。 手技のAFSは、回し蹴りに比べれば、寸止めしても、振り抜いた場合との違いが少ししか出ないが、コンビネーションパンチを寸止めで繰り出す事を想像してみると、その煮え切らなさに耐えられる人が居るか、疑問である。 フェイントと寸止めの区別は付くのだろうか。 |
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