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2024年07月31日(水曜日)
法イプス

米国で民家に不法侵入した泥棒が被害宅の煙突内に落下して怪我をした事について煙突の安全性が不足しているせいだとして損害賠償訴訟を起こして勝訴した、みたいな話を何十年か前に聞いた。
当時は対岸の火事、笑い話として聞いたが、最近では日本でも他人事では無い感じに成っている。
名誉毀損や撮影罪の拡大が、そんな感じだ。
こんな事に成るのは、裁判が悪いという事も有るだろうけど、それだけではなく法律自体にも悪い所が有るからだろう。
法律にそういう欠点がある事を私は「法イプス」という言葉で表したい。

「イプス」というのは、スポーツのベテランが、突然原因不明の不調に陥る事だったと思う。
いまWikipediaで調べてみたら、同じ動作を過剰に繰り返す事によって脳の構造が変化し突如自分の思い通りの動きが出来なく成る、という意味の事が書かれていた。

スポーツの熟練者は、色々な失敗経験が脳裏をよぎり、それによって動作に萎縮が生じる、ビギナーズラックの反対みたいな現象だろう、と私は思っている。
失敗経験に基づく色々な補正を初心者の動きに加えた結果が熟練者の動きだ、と言えるだろう。
その意味での補正を過大にやってしまう、度忘れの様に加減が分からなく成ってしまうのがイプスだろう、と私は思っている。
難しく考え過ぎる事だ、と私は考えているわけだ。
グレン・グールドというピアニストは、指をどの様に動かしているのか、という質問に、足を動かす順序をムカデが意識したらムカデは歩けなく成る事だろう、と答えた、というエピソードを聞いた事が有る。
スポーツのイプスにも、うっかり意識してしまったせいで思い出せなく成ってしまった、という成分が含まれているだろう。

法律でも、「目には目を、歯には歯を」といった様な原始的で素朴な法律から出発して、修正を繰り返した結果が現行の法律だ、と考えられる。
私が「法イプス」という言葉で表すのは、修正を繰り返す事によって、「目には目を、歯には歯を」といった様な原始的で素朴な法律で防ごうとした犯罪を法律がサポート・保護・護衛する様に成ってしまっている事です。
黙秘権とか、違法な手段を用いて収集された証拠は裁判で採用されないとか、こういうのは間違いであるだけでなく不審だと私は思うよ。
優生保護法や精神衛生保健法に至っては、法律が公然と犯罪を肯定している、というのが私の評価です。

ポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)も、法イプスを生じている。

「法匪」という言葉が表す様な悪意を持って行なう不正と違って「法イプス」は、悪気なく改良のつもりで修正を繰り返しているうちに法律を駄目にしてしまった、という状況を表しています。
角を矯めて牛を殺す(つのをためてうしをころす)、という諺(ことわざ)も、法イプスを表現するのにピッタリだ。
悪意を持って故意に法イプスを生じさせるなら、庇(ひさし)を借りて母屋を取る、という諺でも表現できるだろう。


最終編集2024年08月06日