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| 2012年01月18日(水) | ||||||||||
| 第1種のペテン | ||||||||||
| 昨日の記事の結論をまとめると、実際に起こっている事は、次の2つの文で表現される状況だ。 【表現1】P1はP2,・・・,Pnから靴下を担保にして手袋を借りている。 【表現2】P1は、自分の靴下をP2の手袋と交換してもらい、その後直ぐに靴下をP2から借り、P2,・・・,Pn間の取引は全て債権と手袋の交換だった。 表現1で考えるなら、P2,・・・,Pnには、P1から手袋のレンタル料を受け取る権利が、発生するはずだ。 表現2で考えるなら、P2,・・・,Pnには、P1から靴下のレンタル料を受け取る権利が、発生するはずだ。 しかし、貨幣についての常識的説明は、その権利を否定するものだ。 貨幣を表現2の債権の債券と考えるならば、その権利はもみ消されないが、貨幣についての常識的理解では、貨幣は債券とは考えられておらず、表現2を次の様に歪めた状況が、考えられているからだ。 【表現2a】P1は、これは靴下と同じ価値を持つ物で後で靴下と交換できます、と説明した上で、自分の貨幣をP2の手袋と交換してもらい、P2,・・・,Pn間の取引は全て貨幣と手袋の交換だった。 これだと、取引は全て交換であり、どこにも貸借は含まれないので、レンタル料は発生しない。 したがって、貨幣についての常識的説明は、ペテンである。 どこがペテンなのか? 貨幣が靴下と同じ価値を持つ、という部分、交換できるから同じ価値を持つ、という説明がペテンだ。 靴下は履けるが、貨幣には「履ける」に相当する利用価値が無い。 貨幣には、手袋と交換できる、という利用価値があるが、それは靴下にもある。 したがって、「履ける」の分だけ、貨幣の方が靴下よりも価値が低い。 このペテンを「第1種のペテン」と呼ぶ事にする。 私の言ってる事が屁理屈ではない感じをつかむためには、自分の手袋を相手の靴下と交換してもらい、靴下を履いて過ごした後で、その靴下で手袋を受け戻す、という状況を考えれば良かろう。 靴下の代わりに貨幣を使うなら、丁度「履いて過ごす」の部分だけが出来ない。 履いて過ごす事は出来ないが、その代わりに別の何かが出来る、というのでもない。 P2の立場で考えてみると、正しい取引は、P2はP1を窓口として経済全体に手袋を貸し、その債券として貨幣を受け取り、P3を窓口として経済全体から手袋を受け戻す、という風に成っているべきだ。 貨幣を、債券とは考えず、手袋と同じ価値を持つ物と考えると、P2は自分の手袋をP1の貨幣と交換した後その貨幣をP3の手袋と交換した、という事に成ってしまい、同じ状況に対する理解が、どこにも貸借が無いかの様に、歪められてしまう。 第1種のペテンは、レンタル料のチョロマカシ、という効果を生んでいるだろう。 しかし、無利子の貸借契約、というものだってあるのだから、貸した人をレンタル料を受けれる可能性に気付かせないでおく、という点だけなのかもしれない。 また、株式投資の様な元本割れを容認する出資契約を参考に考えると、貨幣を債券として物を貸す場合は逆に元本保証付きだから安全だ、とも言える。 貨幣を債券とする貸借が無利子(レンタル料ゼロ)である事は、単にそういう契約なんだよ、という事なのかも。 いや、それでも、少なくとも貸借の事実が隠蔽されている。 チョロマカされたレンタル料を、貨幣の利便性が為した与益に対して支払われたもの、と解釈する事は出来ないだろうか? しかし、それだと、貨幣を採用した方が得でもなければ、貨幣を採用しない方が得でもない、という事に成るので、貨幣の利便性が為した与益は、チョロマカされたレンタル料よりも大きい、と考えるのが正しいのか? それでは、どこかおかしい気がする。 それでは、貨幣の利便性によって何も得をしていないP2,・・・,Pnが払って、得をしたP1が受け取る、という構図に成ってしまう。 だから、これも違う。 レンタル料のチョロマカシの指摘は御モットモだが量的にはそんなの大した事ない、という意見については、どうだろうか? レンタル料(利子)の観点から言って、貨幣が債券ならば、貨幣価値は時間と共に上がって行くはずだ。 しかし、実際には、貨幣価値は、時代と共に減少して来た。 それも、半端じゃないぐらい。 だから、ここには、ものすごい内容が含まれているのかもしれない。 ひょっとすると、債権者は、気付かれない様に上手く煙に巻かれながら、何度も大規模な債権放棄をさせられて来たのかもしれない。 しかし、そういう実際の歴史の検証に行く前に、当面は、もっと基礎的な事を詰めておきたい。 |
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